11月30日 NHK「おはよう日本」
キレがあって後味がすっきりした日本酒。
その作り手が11月から
業界初となる女性向けのメークブランドを起ち上げた。
兵庫県西宮市の酒造メーカー 日本盛。
明治時代1889年創業の老舗である。
しかし日本酒の長期低迷に加えて新型コロナの感染拡大で
飲食店の需要が減少していることに頭を悩ませていた。
そこで第2の柱として化粧品事業に力を入れているのである。
口紅やファンデーションなど22種類をそろえた。
いずれにも日本酒や米ぬかの成分が含まれている。
日本酒をつくるときに出る米ぬかは
平安時代から体をあらうのに使われてきた。
江戸時代の浮世絵には
女性がぬかの入った袋で体をあらう様子が描かれている。
“日本酒に含まれるエチルグルコシドという成分は保湿作用がある“
との研究結果が報告されている。
このメーカーでは肌の悩みを抱える50代以上の女性にターゲットを絞った。
酒蔵ゆえに原材料が調達しやすいこともコスト面の強みである。
(日本盛 通販事業部)
「私どもは日本酒が主力事業ですが
スキンケア事業も頑張って伸ばして
できるだけ認知してもらい
たくさんの人に使ってもらいたい。」
大型雑貨店の化粧品の中にも
日本酒の会社が作った製品が並んでいる。
日本酒成分入りの男性向け化粧品。
別のメーカー
菊正宗酒造が2020年9月から販売を始めている。
若い男性が興味深そうにサンプルを肌につけていた。
(梅田ロフト 健康雑貨売り場)
「メンズコスメ全体の売れ行きは年々伸びつつある状況にあり
日本酒の保湿成分が入った商品
それが男性用にに出たということで
手軽にスキンケアを済ませたい方が購入している印象を持っています。」
このメーカーは男性的なブランドイメージを生かして
伸びしろがある男性化粧品市場に参入したのである。
この日は酒造メーカーの担当者が日用品の専門商社を訪れ
販路拡大に向けて商談にのぞんだ。
(菊正宗の担当者)
「ぜひお得意先さまの方に商品をご紹介いただいて。」
(商社の社員)
「飲むのも好きなんですけれども
飲むのが正直好きなんですけど
肌につけてもいいんだな。」
「さっぱりしているんですけれども
しっかり肌になじむというか
浸透していくのを感じられる商品だった。」
(菊正宗酒造 化粧品事業部)
「日本酒成分が入っているのはもちろん
副産物の酒かすから抽出されたエキスだとか配合して
保湿の特化したような化粧品になります。
男性の悩みを解決できるような商品の展開ができたらと思います。」
美味しいだけだなく
きれいになる日本酒が
新型コロナによって厳しい経営環境に置かれる酒造メーカーの生き残り策となるのか
模索が続く。
11月29日 NHK「これでわかった!世界のいま」
子どもや女性に囲まれ笑顔を見せる中村哲さん。
絵本のタイトルは「カカ・ムラド」。
中村さんが現地で呼ばれていた名前である。
アフガニスタンでの医療支援や砂漠の緑化の取り組みなどが描かれている。
絵本を手掛けたNGOの代表 ザビ・マハディさん(32)。
世界各地の絵本を翻訳して学校や図書館に配布する活動をしている。
(NGO代表 マハディさん)
「中村さんが命がけで取り組んできたことを
次の世代を担う子どもたちに伝えたい。
そのために絵本を作ろうと考えた。」
マハディさんが中村さんと出会ったのは4年前。
日本に留学中だったマハディさんは
農業などのインフラ整備について中村さんの講演を聞き感銘を受けたという。
2000年に起きた大干ばつの影響で
当時のアフガニスタンは食料の生産が困難を極めていた。
そうした中で住人の暮らしを支えようと活動を続けていた中村さん。
厳しい環境でも前向きに生きる姿にマハディさんは希望を見出したという。
(NGO代表 マハディさん)
「中村さんは日本人でありながら宗教や宗派に関係なく
アフガニスタンのために一心に活動してくれた。
その姿は私だけでなく
当時 中村さんの講演を聞いたすべてのアフガニスタン人に感銘を与えた。」
しかし2019年12月
中村さんは帰らぬ人となった。
(NGO代表 マハディさん)
「亡くなったと聞いて
深い悲しみに襲われた。」
中村さんの功績を次の世代に伝えたい。
マハディさんは中村さんから聞いた話を思い出しながら
半年ほどで絵本を完成させた。
絵本には原因不明の病気や貧困に苦しむ住民たちに寄り添う中村さんの姿が描かれている。
病気の流行を食い止めるためにはきれいな水が必要だと考え
用水路を引くために
自ら重機を操った。
用水路は6年の年月を経て完成。
砂漠化した土地は
緑豊かな大地へと変わり
住民たちに笑顔が戻った。
最後のページ。
中村さんにちなんで「ムラド」と名付けられた子どもに託された思いが語られている。
きっといつかムラドが
カカ・ムラドが見た夢の続きをかなえてくれるはずさ
マハディさんはこの絵本を1,200部余出版。
小学校などに無料で配布している。
(生徒)
「中村さんがしてくれたことは一生忘れません。」
「ぼくも中村さんのような人になりたい。」
(NGO代表 マハディさん)
「私の望みは
子どもたちに
中村さんの生き方を手本に生活してもらうこと。
そして
この国のすべての乾いた大地を潤すため
中村さんがやり残したことをみんなで実現することです。」
11月27日 読売新聞「編集手帳」
その虫の名は変遷をたどってきた。
平安期はアクタムシかツノムシ、
信長・秀吉の時代はアブラムシと呼ばれ、
江戸時代に入ると、
ゴキカブリという名が登場する。
ああ、
だんだんと近づいてきた。
ゴキカブリは、
木製のお椀「御器」に「かぶりつく」の意である。
そこから「カ」が抜け落ちたのは一説に、
日本昆虫学の祖・松村松年が、
明治期に出版した学術書に誤記したことに始まるといわれる。
令和を迎えた今日この頃では、
名を口にするのも嫌な人は「G」と呼んでいる。。
その虫についてイメージを覆す報に接した。
法政大や鹿児島大などの研究チームが南西諸島で、
光沢のあるメタリックブルーの体を持つ新種2種を発見したという。
青く光り輝きながら、
すばしっこく家具のすき間に逃げ込む、
壁をよじ登る、
羽を瞬(またた)かせて飛ぶ――
少し想像するだけで自然界の奥行きを感じる。
巣ごもりの奨励された時期が過ぎた頃、
時事川柳欄(大阪版)に載った句を思い出す。
<ゴキブリが来る定刻の定位置に 山本啓>。
警察用語でいえば、
張り込みだろう。
家にいる時間が長いほど会うことも増えそうである。
11月27日 NHK「おはよう日本」
都市対抗野球大会が11月22日に開幕した。
全国から32チームが出場する社会人野球最高峰の大会である。
今回 飲食店を母体とする企業が出場した。
東海地区代表のジェイプロジェクト。
名古屋を中心に約150の飲食店を運営している会社である。
キャプテンの片岡選手(24)は居酒屋のホール係
外野手の吉富選手(25)はキッチン担当など
45人の部員は全員が居酒屋の従業員である。
午前中は練習
午後から深夜まで働く生活をしている。
チーム最年長今井選手(34)。
看板店で店長を任されている。
今井さんが働くのは名古屋駅前の店舗。
新型コロナによる影響を大きく受けている。
10月の売り上げは去年に比べ6割ほど。
さらにこの日の感染者は愛知県で129人。
全国では1,200人を超えた。
「過去2番目ですか。」
今井さんたちの居酒屋を運営する会社は上半期約13億円の赤字を計上した。
(選手 兼 店長 今井さん)
「店が大変ななかで野球をしていていいのかという葛藤が自分の中であって。」
苦しい経営状況のなか
年間数千万円かかる野球部は必要なのか。
会社代表の新田さんは
野球部がかつて東日本大震災後の不況を跳ね返す原動力になったという。
2012年
都市対抗野球に初出場。
野球部の活躍を見て自分の職場に誇りを持った社員たち。
お客さんを呼び込むためのアイデアを次々に生み出した結果
会社全体で過去最高の利益につなげた。
今回 新田さんは
野球部が再び起爆剤にくれるなら
お金をかけることには大きな意義があると考えた。
(ジェイグループホールディングス 新田さん)
「野球部は常々“心の社旗”だと言ってきました。
彼らがエンジンとなって業績をコロナ前の水準まで持ってきてくれるのではないか。
大きな期待を寄せています。」
会社の期待を背負って臨んだ都市対抗野球の東海予選。
(実況)
「ジェイプロジェクトさよならです!」
すべての試合で逆転勝ち。
逆境をはねのけ続ける強さを野球部が体現した。
(選手 兼 店長 今井さん)
「精一杯やっていることで会社が元気になったり盛り上がれば
居酒屋代表じゃないですけど
そういった姿を見せられたら。」
2度目の全国大会。
同じ飲食業界の仲間からもエールが寄せられた。
(ジェイグループホールディングス 新田さん)
「みんなが居酒屋の誇りって
居酒屋根性を見せてやれって
応援していただいているんだなと強く実感できました。」
24日 本大会の初戦を迎えた。
スタンドでは社員だけでなく業界大手のライバル企業からも加わった400人が応援。
声を出すことができないなか
飲食業界の思いを背負って戦う選手たちを見守る。
2点リードされた3回
チャンスで打席に向かうのは看板店で店長を務める今井選手である。
意地のタイムリーヒット。
チームを鼓舞する。
その後も必死のプレーを続ける選手たち。
“会社をそして飲食業界を代表して戦う“
そう胸に秘めて臨んだ戦いが終わった。
(選手 兼 店長 今井さん)
「感謝の気持ちをグラウンドで表現したかった。
全力でやっている姿は見せられたかなと思う。」
(ジェイグループホールディングス 新田代表取締役)
「彼らが最後まで一生懸命戦っている姿
この厳しい状況のなかでも
あきらめずに最後まで頑張りたいという気持ちにみんななったと思います。」