原題:Bal
さよならは、心の奥にしまい込んだ。
いつか蜂蜜が甘く香るその日まで――
評価:→70点
幻想的な森を舞台に、主人公ユスフの成長を通して父、母との絆、そして人の心の機微を情感豊かに描く。監督はデビューからわずか5作品で異例とも言える計40以上もの賞を受賞した、現代トルコ映画界を代表するセミフ・カプランオール。本作は第60回ベルリン国際映画祭において、名だたる競合を退け金熊賞を獲得したという作品。そういえば、あの「キャタピラー」も出品され、寺島しのぶさん、女優賞ゲットだったね。
「恋の罪」を鑑賞直後に観た本作。あまりにもギャップがあり、ちょっと戸惑ったな。過激過ぎた恋罪だけに、今度はまったくといって良いほど静かなもので、例のごとく、睡魔に襲われる。
いきなりネタばれ?いやそうじゃない。最初からこういう風になることを知らせているんでしょうね。
冒頭は主人公ユスフの父が高い木に登り、仕掛けた特製の巣箱で養蜂しているんです。高くて大きい木に綱で登る際、突然予想もつかないアクシデントに。。。。。。
ここで映像はぷつりと、、、、、。
そして本題へと繋がって行きます。
あらすじ(goo映画より)
幼いユスフ(ボラ・アルタシュ)は、手つかずの森林に囲まれた人里離れた山岳に両親と共に住んでいる。養蜂家の父、ヤクプ(エクダル・ベシクチオール)は、森深くにある高い木のてっぺんに仕掛けた特製の巣箱で黒蜂蜜の養蜂を行って生計を立てていた。ユスフにとって、森は神秘に満ちたおとぎの国で、父と森で過ごす時間が大好きだった。木漏れ日の眩しさで、目を伏せたくなるくらい高いところで仕事をしている父を、ユスフは憧憬にも似た眼差しで見つめる。ある朝、ユスフは夢を見た。父に「夢を人に聞かれてはいけない」と教えられたユスフは、父にだけこっそりと夢をささやく。すると父は「その夢は誰にも話しちゃダメだ」とユスフに告げる。この夢は二人の間で永遠の秘密となった。
小学校に入ったばかりで読み書きを学んでいるユスフは、クラスメイトの前で教科書を読んでいると突然吃音になり、他の生徒たちから笑われてしまう。
ユスフのピュアな眼差しが何かとても心洗われる。
思いだすとほとんどセリフが無い?そうそうそうなんです。日常生活を映し出しているって感じで。何故にユスフは吃音になったのか?
本を読んでいる同級生の真似をして何とか上手く読みたいと思うユスフの姿が印象的。それで手をあげて読もうとしたら、他のところを読むように先生から言われてしまい(笑)なかなか読めないユスフ。
予告では父の失踪でそうなったように思っていたのですが、どうもそれが原因ではなさそうでした。そのあたりも説明されてないのでまったく謎ですね。
上手に音読できたら先生からもらえる“よくできましたバッジ”を自分一人だけがもらえないのではないかと焦っていた。そんな中、森の蜂たちが忽然と姿を消す。ヤクプは家族の生活のため、蜂を捜しに遠く深い森に巣箱を仕掛けに入っていく。すると父が旅立ったのと同時に、ユスフの口からは言葉が失われてしまう。母のゼーラ(トゥリン・オゼン)はそんなユスフを心配し、どうにかして話をさせようとするがユスフの口は閉ざされたままだった。
父がなかなか戻らず、不安がっているユスフを目にしたゼーラは、彼に昇天祭(ミラージュ)の夜を祖母の家で過ごさせることにする。そこで預言者の昇天の話を聞いたユスフは、預言者に父をなぞらえ、必ず帰ってくると信じるようになる。翌日、母とアララト山の祭りに父を捜しに行くも父は現れず、ユスフの心は晴れない。月日が流れ、ユスフに心配をかけまいと毅然と振る舞っていた母さえも、日を追うごとに哀しみに暮れていく。そんな母を、ユスフは大嫌いだったミルクを飲んで励まそうとする。
ミルクが嫌いだというのもなかなか分からなかった。何故に嫌いなのかもまったくふれていないので、、、、。
父が飼っていたミミズク
このミミズクに導かれて父が消息を絶った森の奥に足を踏み入れるユスフ。木の下で深い眠りについているユスフは、夢の中で父に出会っているのだろうか?
父の死をどこまで受け止めているんだろう?その辺はよくわからないけど、母を励まずために嫌いなミルクを頑張って飲んで見せるのは、父がいなくなって悲しむ母の姿を何とか理解したのかもしれないですね。
説明も音楽も、セリフも極力少ないだけに、私にとってはなかなか把握出来ず。その上、静か過ぎるもので困りました。
でも森の中の幻想的なシーンはとてもヴィジュアル的には良かったです。
いやあユスフ演じるボラ・アルタシュ君、本当に可愛くて素晴らしい!
メディア | 映画 |
上映時間 | 103分 |
製作国 | トルコ/ドイツ |
公開情報 | 劇場公開(アルシネテラン) |
初公開年月 | 2011/07/02 |
ジャンル | ドラマ |
映倫 | G |
現代トルコ映画界を代表するセミフ・カプランオール監督が、幻想的な森を舞台に少年ユスフの成長を通して父、母との絆、人の心の機微を情感豊かに描くユスフ三部作の最終章。主演は、本作が映画初出演となるボラ・アルタシュ。
『卵』(Yumurta)、『ミルク』(Süt)に続くユスフ3部作の第3作だそうですが、面白いのは、「卵」がユスフの壮年期で、「ミルク」がユスフの青年期。逆のパターンなんですね。
この方がセミフ・カプランオール監督。