
親と子のふつうの会話なら、
「ちょっとファンヒーターの灯油を入れてくれる」
と、子どもに頼みごとをすると、ほとんどの場合、
「いいよ」と灯油を入れに行ってくれます。
ところが、反抗期に入っている子どもは、「え~、自分でいれてよ」とか
「じゃまくさい」
て言って、行ってくれません。ちょっと行くだけだから、やってくれたらいいのにと、親はムカッとくることがあります。
この程度のことが、ときどきあるくらいなら、仕方ないな」ですませますが、しょっちゅうだとイラついてきます。
「さぼってないで、ちゃんとクラブへ行きなさい」
と言っても、
「だって、練習がしんどくてついていかれへんもん」
「あしたはちゃんと行きなさいよ」
とは言いますが、
「そんなこと言っても、勉強もあるし。いつも勉強しなさいと言ってるやん。クラブムリ~」
このようなやりとりが続き、イライラしてきます。
「素直じゃない。ときには、はいと言えないの?」とキレたくもなります。
こんなとき、言葉の使い方の工夫がいるようになります。そのポイントは、つなぎ言葉の工夫です。
つなぎ言葉にはいろいろとあります。
①そして、それなら、ところで、それから、つまり・・・
②でも、しかし、だって、しかし、ところが・・・
親御さんは、お子さんとの会話で、①と②のどちらを多く使われるでしょうか。①なら①ばかり、②なら②ばかりを使う傾向があるようです。
①と②のどちらを多く使うかは、いい・わるいという問題ではありません。が、これにより対話のパターンが生まれます。
①は順接、②は逆接です。
反抗期の子どもは、よく逆接を使い話してきます。逆接タイプの子どもに、「クラブへ行きなさい」「ちゃんと練習しなさい」と、声かけしてもうまくいきません。「でもね」、「だって」の返事が返ってきます。
ということなら、親はそれを考慮して、逆接タイプに合わせ、次のようにことばを変えるのです。
「やっぱりクラブは行きたくないよね」「勉強しないといけないから、クラブへ行く時間はないやんね」
すると、子どもは②の逆接でつなぎ
「そんなことないもん。行けるよ」
と返事します。
子どもは逆接で断ったつもりが、親の頼みごとを引き受けることになってしまうのです。
言葉のトリックみたいですが、じつは人はダメだろう、できないよねと言われると、やってみたくなるものなのです。そのような傾向を利用しているのが上の対話です。
ただし、反抗期が強く表れていない、①の順接型の子の場合は、注意がいります。
「やっぱりクラブは行きたくないよね」「勉強しないといけないから、クラブへ行く時間はないやんね」
「うん、そう。行きたくない」
となり、本当にクラブに行かなくなってしまいますから。
子どものつなぎ言葉のタイプに合わせて、言葉のかけ方を変えることにより、子どもをうまく導いていくことができます。子どもの反応は面白いものです。