箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

桜のチカラ

2019年04月08日 11時30分00秒 | 教育・子育てあれこれ
 
 
 
箕面市内中学校では、本日、満開の桜のもと入学式を迎えました。
ご入学おめでとうございます。
 
さて、作家の重松清さんの小説に『さくら地蔵』があります。あらすじを紹介します。
 
3月中旬の頃です。ある町で今度、学校に入学する美奈ちゃんがお母さんといっしょに通学する道を歩いていました。
 
道ばたに小さなお地蔵さまを見つけました。親子はお地蔵さまに近づきました。驚きました。
 
そのお地蔵さまの足元には桜の花びらが敷き詰められていました。お地蔵さまは「さくら地蔵」と呼ばれていました。
 
30年ほど前からその町にありました。毎年春になると、お地蔵さまは桜の花びらで飾られるのでした。じつは、このお地蔵さまを建てたのはナベさんという人でした。
 
彼は長距離トラックの運転手でした。30年前、ナベさんは、この場所で長男の隆太君を交通事故でなくしました。小学校入学の直前でした。
 
毎年、春になると、ナベさんはお地蔵さまに桜の花びらを供えました。いつしか長距離トラックのドライバーの間で、桜の花びらをお地蔵さまにお供えすると交通事故に遭わないと信じられるようになりました。
 
桜の花びらがまるで座布団のように、お地蔵さまの足元に敷き詰められるようになったのでした。
 
運転手たちは、桜の季節になると仕事先で桜の花びらを拾い、持って帰ってきてさくら地蔵にお供えをしたのでした。
 
さて、今年はナベさんにとって特別でした、ナベさんは、自分の一人娘が出産をしたという報告をさくら地蔵にしようと立ち寄りました。
 
「降太、おまえのおいっこが生まれたよ。守ってやってくれな」
 
そのときです。ちょうど美奈ちゃんがお地蔵さまのところへやってきました。筆箱に桜の花びらがぎっしり入っていました。
 
美奈ちゃんは、桜の花びらをお地蔵さまの足元に敷きつめました。
 
彼女は「毎日学校の帰り道に、お地蔵さまにあいさつをしているの」。
 
こうナベさんに伝えました。それを聞いたナベさんは涙を堪えてつぶやきました。
 
「隆太、よかったなあ」 ・・・。
 
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この話は、私が2年前に、中学校の入学式の校長式辞で話したものです。
 
 
桜には人を元気にしてくれる不思議な力があるようです。
 
今日、入学した1年生が充実した学校生活を送ってくれるよう、願っています。