箕面三中では、卒業式で3年生は「大地讃頌」を歌います。
この歌を卒業のとき、学年で全体合唱するのは大切なことだと、わたしはつくづく思います。
さて、いま、世界的にみれば移民を受け入れることに反対の姿勢を取る国が増えてきています。
アメリカをはじめ、ヨーロッパの国々でも移民受け入れを拒否する方向に傾いてきた国があります。
とりわけ、アメリカは建国以来、「人種のるつぼ」と呼ばれ、多様な人々、外国から移ってくる人々を受け入れ、多民族、多国籍の人びとが、合衆国を作ってきました。
アメリカの先住民であるアメリカ・インディアン(ネイティブ・アメリカン)の教えは、意味が深く、真理をついていると、私は常々考えています。
アメリカ・インディアンの酋長シアトルは、『父は空 母は大地』のなかで、つぎのように言っています。
じつに意味深い言葉です。
ひとつだけ 確かなことは
どんな人間も 赤い人も 白い人も
わけることはできない ということ。
わたしたちは結局 同じひとつのきょうだいなのだ。
わたしが 大地の一部であるように
あなたも また この大地の一部なのだ。
大地が
わたしたちにとって かけがえのないように
あなたがたにとっても かけがえのないものなのだ。
赤い人とはインディアンを指します。
白い人とは白人を意味します。
人間はもちろん、草木、水、動物におよぶまで、すべてのものは大地の一部なのです。
すべてのものが、自由で平等に生きる。
その生き方を志向した酋長がシアトルです。
1854年、アメリカ政府はインディアンの土地を買い取り、インディアンには居留地を与え移住させる方針を打ち出したのでした。
そのとき、シアトルは居留地に移り住むことを承諾しながらも、「政府は、どうやって大地までも買うというのか」
と問いかけ、その思いをこの言葉に託したのでした。
約170年近くも前の言葉ですが、いまの世界情勢をみたとき、シアトルが伝えたかった思いは、まったく色あせることなく、わたしたちや中学生が考えるべきこととして、胸に迫ってきます。