「年収103万円の壁」の引き上げが検討されている昨今ですが、現状での年金の問題を考えてみます。
今年度50歳になる世代が65歳で受給し始める場合の年金月額は男性で平均14万1000円です。
しかし、女性の場合は平均9万8000円で、4万円以上の差があります。
また、月10万円未満の人の割合は、50歳男性では約2割ですが、50歳女性では約6割になると考えられています。
男女の年金額の差が大きいのは、女性が正社員などとして厚生年金に加入していた期間が短いのが主因です。
そのほか、現役時代の賃金水準に大きな男女
格差があることが要因です。
とくに現在の中高年女性が若かった頃は、長時間労働が当たり前で、仕事と育児の両立が難しかった時代でした。
これまで働き続けてきた女性も、職務範囲が狭く、人材育成を受けた経験が少なく、管理職経験者もわずかであることが、年金額の男女差を生んでいるのです。
月10万円未満というレベルは、相対的貧困の状態にあたります。
ただ今後の見通しでは、女性の年金水準は、若いほど改善していきます。
40歳女性の年金額は平均9万9000円、30歳10万7000円、20歳女性は11万6000円という試算です。
しかし、だからといって若い女性の老後は安心と言える水準では到底ありません。
女性が老後、貧困に陥らないためには、現役時代のうちに、たくさん働き、賃金を上げることが重要です。
近年は、企業で女性活躍の取り組みが進んでいます。若い女性にはぜひ、出産・育児などの人生を通して働き続けることと、キャリアアップし続けることが大事になります。
そのことが、賃金水準と年金水準の向上につながるからです。
非正規雇用も、無視できない要素です。非正規雇用が長いために、厚生年金の被保険者期間が短かったり、賃金水準が低かったりすると、年金水準も当然、低くなります。
国や行政は、財政確保の視点という全体最適だけではく、非正規雇用の人たちの老後の生活をどうするかという、一人一人の生活者の視点に立った個別最適となる雇用攻策を合めて考えてほしいと思います。
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