さまざまな親御さんから聞いてみると、公教育、とりわけ公立小中学校への不信感を聞くことがあります。
これはメディアによるところが大きいようです。
「いまやOECD諸国の中で、日本の教育水準は低下した」
「グローバル社会では、それに対応できる人を育てなければならない」
「このままいけは、日本は世界から取り残される」
などと、メディアは国民を煽ります。
子どもは成人したとき、高学力で学校の成績が優秀で、英語が使えるのは当然、コンピュータを使いこなし、スポーツができ、芸術の才能もある。
このような「スーパー人材」にならないと、将来は生きていけない。
差し迫っているかのような脅迫感や切迫感を煽ります。
公立学校では不十分だ。小中学校は私学へ行かして、塾や習いごとに通わせよう。
では、日本の公教育の水準は高くないのでしょうか。
私は、そうは考えていません。
客観的に冷静に現実を見れば、日本の義務教育の水準はたいへん高いものであると考えます。
36年間公立中学校に勤務した経験から、私はそう思います。
とはいえ、公教育が今のままでいいとも思いません。
教師は、子どもの力を適切に引き出して、伸ばすような先生になるべきです。
ただ、中学校3年までの日本の公教育のカリキュラムは質の高いものです。
自国の歴史を学ぶことのない国が世界にはある中で、日本では、自分の国の歴史だけでなく、他国の歴史まで学びます。
海外での進学を目指しアメリカの大学進学適正試験を受けても、日本の子は高得点をとります。
教科書中心の学習でも、教育水準として心配はいりません。
私たちは、日本の公教育に、もっと信頼を寄せなければならないのです。