私は、高校のときヘルマン・ヘッセの「車輪の下」を文庫本で読みました。
とても、奥の深い名作で、主人公ハンスは神学校に上位の成績で入学しますが、学習ばかりする自分の人生に疑問をもち、次第にドロップアウトしていきます。
純粋な心を失っていくハンスでしたが、ちょうど時期的に私もそのような心境の頃で、必死で読んだことを覚えています。
その『車輪の下』を書いたヘルマンヘッセが残した言葉に、次のものがあります。
「しがみつくことで強くなれると考える者がいる。
しかし時には手放すことで強くなれる。」
今やっていることをやめたいけど、やめたら先々が不安。我慢していれば、そのうちに何とかなるだろうと考える人もいるでしょう。
しかし、思いきってやめることで、新たな道が開かれることもあるのです。
耐えることも大事ですが、いまの生活が、自分にとってほんとうに必要なのか。執着することに意味があるのかというヘッセからの問いかけを感じとります。