ある生徒が言っていました。
「うちのお父さんは、旅行へ行くときも、出張ででかけるときも、着替えをかばんにつめたりの支度を、全部お母さんがやっている」
また、あなたの職場にこんな人はいませんか。
仕事はするにはするのだが、言われたことしかしようとしない。大人なんだから自分で必要と思うことを工夫してやればいいのに。
もし、上司や同僚がこんなふうにぼやいているとき、ひとつ考えてなければならないのは、その人に仕事を任せているかという点です。
人は、仕事を「あなたの仕事」として任されないと、「こうしたらどうだろうか」と考えたり、この点についても配慮すべきだというように、注意力や意識が広がることはないのです。
このことは、思春期の子どもも同じです。親が学校にいく前に、「〇〇はもった? 今日の授業では、ポスターカラーがいるから、かばんに入れといたよ」と、親が準備していたら子どもはいつまでも自分で準備するようにはなりません。
そういった子は、あるときに授業の準備物を忘れて困っても、家に帰ると「お母さんが準備しなかったから」と親のせいにすることにもなります。
「自分のせい」と思わず、人のせいにしているところでは、子どもは失敗やまちがいから学ぶことは何一つありません。
大人であっても、子どもであっても、仕事やものごとをするときに自発性があるかないかは、意欲に関係します。
その自発性は、ものごとや仕事を任されるかことよって引き出されます。
子どもの場合はとくに任せてもうまくいくかどうかはわかりません。期待通りの結果にならないこともあるでしょう。
でも、任されていれば、うまくいかなかったことでも、「こうしたらどうだろうか」とか「今度はこうしよう」と思い、意欲が出てくるのです。
子どもは、任されることで責任感と意欲が高まり、できるようになるのです。