箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

学級担任としての自覚と覚悟

2021年04月23日 08時28分00秒 | 教育・子育てあれこれ


今の小中学校では、教員以外の専門的スタッフが配置され、児童生徒の健やかな成長に寄与する体制づくりが進んでいます。

たとえば、スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)学習支援員、教育相談員、通級指導員などが配置されています。

また、特別支援教育に関しても、校内の教員の中から特別支援教育コーディネーターを選任し、教員がSCや教育相談員と連携し、チームとした教育を進めています。

しかし、その一方で気になることがあります。

子どもにかかわる大人が増えることにより、学級担任の役割と意識が薄くなることです。

これはとくに教職経験の少ない若手教員に見受けられます。

たとえば、課題のある児童生徒に関して、専門的な観点からアセスメント(支援・指導の方向を定める「見立て」のこと)をするときに、保護者の了承を得て、発達検査を行う場合もあります。

そして、発達障害が明らかになったりすると、「そうか。この子は○○だから、できないんだ」と妙に納得するのです。

言葉は適切でないかもしれませんが、子どもに「ラベル張り」をして、安心してしまう例が散見されます。

アセスメントをするのは、その子にあった支援がどうあるべきかを検討し、多面的・効果的な支援を行うためにあるのです。
学級担任が思考停止してしまうためではないのです。

学級担任なら、その子の特性、能力をまるごと引き受けていくのです。クラスの子、誰ひとりとり残すことなく、信頼関係を築き、指導・支援にあたるのです。

通級指導員や専門スタッフに任せようとして、課題のある子を自分の視界から外していないか、いま一度ふりかえってほしいと思います。

そんな担任の姿勢をクラスの子どもたちはよく見ています。どの子のことも大切にする学級担任がいるから、子どもはクラスメートを、仲間として受け入れ、かかわりあうのです。

おとながチームとして子どもにかかわることは大切です。しかし、専門的スタッフをはじめ、その子にかかわる教職員を調整して、最終的な責任を引き受けるのは学級担任です。

それだけの役割を覚悟して、子どもの成長とともに成長する教員であってほしいのです。

年度当初に、そう思います。