箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

プラゴミゼロをめざして

2021年12月05日 17時06分00秒 | 教育・子育てあれこれ
京都府の北西部に亀岡市があります。

この市は全国的にも珍しい「プラスチックゴミゼロ宣言」を出しています。

令和3年(2021年)1月には、「プラ製レジ袋提供禁止条例」を施行しました。

先立って平成30年(2018年)には「かめおかプラスチックゴミゼロ宣言」を出しています。

亀岡市には、関西では名前の知れた急流を船でくだる保津川下りの保津川が流れています。

川下りの船頭が、大雨で増水したあとに河原に打ち上げられるペットボトルやレジ袋の山に、胸を痛め清掃を始めたのが、プラスチックゴミゼロ宣言の始まりでした。

その動きを知り、NPOが設立され清掃活動が始まりました。






それを後追いするように、市もプラごみ対策を始めました。

市は環境先進都市をめざすビジョンを市民に示して、それがプラスチックゴミゼロ宣言につながりました。

ただし、市が宣言を出し条例の制定に向かうと、そうすんなりと関係者が賛成したのではなかったのでした。

「お客さんが来なくなったらどうしてくれる」などの声が商店主からあがりました。

そのうちに、関係者の中から「市民がレジ袋を出さないことに了解すればレジ袋を禁止できるかも」という意見が出ました。

そこで市はレジ袋を出さないことに市民が了解することが決め手になるのでは、と考えました。

自治会を軸として、市は説明会を30回たらず開きました。

そして、条例制定のアンケートをとると、7割以上の住民が賛成しました。

このようにして、条例が制定される運びとなったのでした。

亀岡市はプラスチックゴミゼロ宣言以外に、パラグライダーの生地を再利用したエコバッグをつくり、市民が愛用するなどいろいろな取り組みを進めています。

その結果、市民の意識が高まり、マイバッグ持参は令和元年(2019年)の53.8%から令和3年には98%にまでなりました。

亀岡市の取り組みはSDGs(持続可能な開発目標)の12番「つくる責任、つかう責任」や14番「海の豊かさを守ろう」などに通じます。 

SDGsは本気になって、できることから始めていくのがいのです。

このような自治体の取り組みを児童生徒に教材として使い、SDGs推進教育を進めていくことができます。

将来の日本社会を背おう子どもたちに、持続可能な開発に理解を示し、実践していく態度を身につけてほしいと願います。








学校 対面でのコミュニケーション

2021年12月05日 06時37分00秒 | 教育・子育てあれこれ


学校での2020年度のいじめ件数(認知件数)は、2019年度の約61万2500件から2020年度には約51万7000件という結果(文科省調査)が出ました。

数字として、かなり減りました。コロナ災禍により、児童生徒どうしが関係し合う、授業時間、休み時間、クラブ活動時間等の時間そのものが減ったからという見方ができます。

ところが、その一方で不登校は増えました。学校を30日以上欠席して、いわゆる「不登校」と見なされる児童生徒(小中学生)は約19万6000人で、前年度よりも約1万5000人程度増えました。

コロナ災禍は、大人に対してでもさまざまな影響が与えていますが、子どもの場合はなおさらです。不安を感じた児童生徒が増えたためと考えることができます。

くわえて、さらに見過ごすことができないのは、自殺した児童生徒(小中高)が増えているという事実です。415人という過去最多の数字が出ています。

目下、学校の教職員は引き続き学校での感染防止に努めていますが、教師は今後よりいっそう児童生徒の心情に寄り添う必要があります。

いまの生徒指導上の大きな課題は、指導の対象とするエリアが基本的に学校という空間(ときには家庭・地域)に限定されていたのが、インターネット空間にまで広がってきていることへの対応です。

児童生徒も、従来なら学校で起きた友だちとのトラブルや問題は、ひとまず家に帰ればかかわりから外れていました。

しかし、いまや家庭に帰っても、SNSをはじめとしたインターネット空間で24時間中友だちとのつながりをもちます。

そこでの悪口中傷も起きるのが現実です。

学校はオンラインで児童生徒が授業を受けるようなインターネット空間を利用しますが、その画面からははかることのできない現実を児童生徒は生きているのです。

こんなとき、必要なのは対面での家庭訪問であると思います。

新型コロナウイルスは、学校関係者にオンラインの利用を促しましたが、対面でのコミュニケーションを忘れないように再度警告しているように思います。