感染症の拡大でここ2年間は、花火大会や夏祭り、秋祭りなどの行事が中止になっている地域は、日本全国にたくさんあります。
また、防犯活動、環境美化活動などの地域活動ができなくなった地域も多いことでしょう。
今まででさえ、地域の力の弱体化がいわれていたのに、このまま人のつながりが弱まっていくと、地域社会の一員という意識が住民からさらに希薄になるのではないでしょうか。
住民同士の助け合いや協力がなくなるだけでなく、地域への愛着も薄くなるのではないかと心配します。
子どもは大人から有形無形のかかわりを受けて育ちます。子どもにとって大人の存在はとても大きいのです。
たとえば、小さな子がお母さんの背中におわれ、公園を散歩していました。そのとき、近づいた木の枝から鳥が一羽、さっと飛び立ちました。お母さんは「あっ」と声を出し鳥の方に注目します。
すると、おわれていた子もお母さんが視線を向ける方向を見るのです。これはジョイント・アテンションという行動です。つまり、子どもはお母さんが見る方向を同じように見るのです。
こういう大人と子どもの交流があるのです。子どもは大人からたくさんの影響を受けて、成長していくのです。
おとなからの子どもへのかかわりは、これほど大きいのです。
とくに核家族化が進行して久しく、幼い子どもが大きくなる際に親以外にかかわる大人が多いと、教育的効果が高まるのです。
昨今の感染症の拡大や地域行事の中止は、子育てや子どもの成長に大切な資源を子どもが受けられないことであり、子どもの教育上から見ても心配になります。
昔ながらの人のつながりが残っている地域もまだあるでしょう。比較的新しい住民が集まってできた地域もあるでしょう。
それでも、この今でさえ、自治会活動等で気配りをしてくれている人、子どもの成長にやさしいまなざしを向けてくれる人がいるでしょう。
そのような地域への想いを受け継ぎ、次の世代へバトンを渡すことが、地域に住む人の務めです。