中学生の中には、起立性調節障害(OD)と言われる病気を発症する生徒がいます。
思春期に現れやすく、朝や午前中に血圧が上がらず、なかなか起きにくいのです。
体がだるく、たちくらみを感じて、学校に行けなくなる場合も多く、不登校にもなりがちです。
人によりますが、午後からは血圧が上がり、体調がよくなることもあります。
ですから、わたしは教頭・校長在任中に、始業時刻には間にあわないけれども、体調がよくなって午前中遅く、または午後から保健室に登校してきた生徒に対応していました。
午後に比較的元気そうなようすを見た人は、起立性調節障害の理解がない場合、登校できないのはサボリでないかと誤解することもしばしばです。
朝起きれないつらさは、本人がいちばんよく知っています。教育関係者としては、そのつらさ、しんどさを知ったうえで、その思いに寄り添う態度が求められます。
思春期を過ぎる頃には、症状がかなり改善されることも多いようです。
ただ、中学生期は症状がいちばん重い時期に重なることが多く、高校進学の際には、朝に起きれない状況を考慮して、単位制高校や通信制高校、フレックスタイムの高校を選ぶことも多くあります。
家で、得意なことに集中して取り組む生徒もいます。
たとえば、色鉛筆を駆使して、独自の手法で立体的な絵を描き、SNSにあげると、1万件ちかく「いいね」がついて、自信を深めた生徒の例があります。
学校に行けず、友だちにも会えない日が続き、しんどいときでも、好きなことに没頭でき、
多くの人にみてもらえるのは、大きな励ましになります。
起立性調節障害の生徒は、一にも二にも、親御さんや教員をはじめとする、周りの人の理解が不可欠なのです。