箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

「だれひとり取り残さない」は学校で学資するもの

2022年12月29日 06時38分00秒 | 教育・子育てあれこれ
SDGsの根本理念は、「だれひとり取り残さない持続可能な社会をつくる」(Leave No One Behind)です。

それを聞いて、いろいろな印象を受ける人も多いのではないでしょうか。

・「だれひとり取り残さない」なんて、えらく高い理想を掲げたものだ。

・みんなを満足させるなんてできないよね

・だれかは取り残されるは仕方ないけど、大多数の人びとが助かればいいというのが本音ではないの。

このようなうがった見方をする人もいるのではないでしょうか。

しかし、私はまず学校教育のなかでこそ、「だれひとり取り残さない」という理念を掲げ、児童生徒にそれを実現する経験を積ませることが大切だと考えています。

学校のなかでは、自分は自由であるし、友だちの自由を尊重することができればいい学級・学校になります。

ただし、そうなれば人はそれぞれなので、対立・衝突・あつれきが起こります。

そのとき、賛成と反対に分かれて、多数決で賛成の多い方を学級や集団の意思とする。

こういうことをおとなの社会でもよくやることですが、学校でも学級会や児童会・生徒会で行われがちです。

多くの人がこちらの意見・考えを支持している。それが決定だ。だから反対でもしたがっていくのが民主的だ。

(それを職員会議という名称で、教職員までが民主的な会議の運営だと勘違いしています。)

ちなみに、法律では職員会議は教職員の議決機関ではなく、校長の諮問期間であるという解釈です。

つまり、校長が教職員の意見を聴き、それを参考にして校長が最終決定して学校経営をしていくための会議が職員会議です。

職員会議で決まったから、それがすぐに学校の決定だと間違えて解釈している教職員は少なくありません。

ということはともかくとして、児童生徒が学ばなければならないことは、案に反対する友だちを切り捨てないことです。

だれひとり不満をもたないように対話を重ねて、なんとか解決していき合意を導く道をさがすのです。

その最終結論が結果的に多数派の意見になったとしても、反対だった人も納得できればいいわけです。

場合によっては賛成できない人の事情を理解して、その人のための配慮が提案されることもあるでしょう。

「数が多い方に決定だ。それに従え」では数の論理であり、乱暴すぎることを児童生徒は理解して、なんとか解決策をさがすことを学校で児童生徒が学習するのです。

人任せにせず、自分も考え、発言する。人の痛みに無関心ではない。

だれひとり取り残さないとは、学校でこそ学ぶべき概念・考え方です。










コメントを投稿