先日、テレビで朝の情報番組を見ていました。
その中で取り上げていたのは、学校の服装でした。
制服か私服か選択制かについて、番組のコメンテーターはおおむね、選択制の支持に傾いていました。
多様性を尊重して、それぞれの生徒や保護者が制服か私服を選択できる幅があることが望ましいという理由からでした。
ところが、生放送中に視聴者アンケートをした結果が出ると、出演者一同が意外そうでした。
制服支持が一番多く、次に選択制、最後に私服支持となったからでした。
でも、わたしはこの結果が順当だ思いました。
今の制服は、高校ではブレザーにスラックスかチェックをあしらったスカートが圧倒的に多く、ファッション性の高いものや、デザイナーがデザインした制服もあります。
生徒たちは気に入っています。
また、いまは制服をブレザーにしている中学校も増えています。男子の詰襟学生服もありますが、女子のセーラー服の学校も多く、この時期にしか着れない服なのです。
以上が、現場に身を置いていたわたしが考える生徒の実感です。
1970年代には、生徒会が学校に制服廃止、私服を認めさせる運動をした時期が、かつてはありました。
わたしの通った大阪府立の高校は、私服の着用を認めていた(標準服という制服のよくなものはありました)、当時にしては珍しい学校でした。
それでも、毎日私服を着ていた生徒は、ほとんどいませんでした。
コメンテーターが、番組の最初で、選択制が多いだろうと予想したのは、多様性を認める時代を意識してのことでしょうが、感覚が少々ズレていたようです。
今は、ファッショナブルな制服が多く、その学校の生徒であるというアイデンティティを示すものとしての役割を果たしています。
生徒たちは、「この制服を着ることができるのは、今の時期だけ」とわかっています。
だから、今の時代、制服支持が多くなるのです。
自分の教員採用は特別免許状なので、担任を持たない立場で教員支援、学習支援をする立場です。なので、教育現場にいながら、他の教員とは違った客観的な立場でいろいろと他の教員の方々と意見を交わしています。
自分の勤務校は、一部の高等部コースを除いて制服はありません。儀式(始業式、終業式、入学式、卒業式など)では、ご自宅でもっている中学校までの制服や市販のブレザーなどを着用していて、それで何も問題はなく過ごしています。ほかは私服がほとんどです。
特別支援学校には多様な方々が学んでおり、服ひとつでも、こだわりがある、着脱しやすい方が日常生活が成立する、自分の個性を主張できることでコミュニケーションが進むといったことが見受けられます。
一方、高等部の一部コースにだけ制服があるのですが、そこは学校生活も違っていて、制服のみなりをきちんとすることが大切のようです。そのコースの先生に相談されるのは、ボタンをうまくはめられない、襟を直せない、スカートなのに脚を閉じていられないといった相談があります。マナー的なことで対応もしますが、心理身体特性上、簡単には直せない生徒もいるのが現実です。
自分も35、6年前の高校が標準服がある、私服がOKの学校でした。自分は中学の厳しい制服指導のあとで、私服ではいけない気がしてしまい、標準服で高校の2/3は過ごしてしまいましたが、他の生徒は学年が上がる度に私服の割合が増えました。当時は、デザインにこだわったブレザー制服が流行りはじめた頃でしたが、結果は私服登校が多くなるということでした。それで何か学校で問題が起こったことはなかったです。
よく地元で通学する中高生をみますが、中学生はほとんどがジャージ登校です。高校生はたまに見かけると、ルーズな着こなしや化粧を最近の女優メークにしていて、制服にあっていなトータルな格好をしている人もみます。
今回のブログに上がったテレビの主催者がインターネット討論しているのを今年みましたが、制服への費用投資、成長期に合わせたサイズの合わない制服、制服販売業者との関係、多様な性にどう合わせるか、その3年間に名前が入っていると他の生徒にリサイクルできない、現在の社会情勢で衛星的な面で考えれば、同じ制服を洗わずに使うのはどうなのか、などといった論議がされていました。
時間帯の関係でテレビはみていませんが、結果は知っていて、その視聴者投票にどの年齢層や地域が関わっていたかにもよりますが、自分は結果にやはりそうだろうなとも思っています。そこには、子どもたちを管理する大人の論理もどのくらい入っていたのかとも思っています。
今後もこの議論は続くと思いますが、自分の個性を社会に合わせてどのように主張するか、自分達が他の人たちと共同して生活するときに、型にはまった外見上で判断しないか、そもそも学校では何を大切にしていくのかといった論点で議論される推移を見ていきたいと自分は思っています。
おそらく、関西の方が私服を認めていい学校は少ないのでないかと思います。
関西の特別支援学校は制服がないのですが、制服のある公立学校の特別支援学級在籍の生徒は、制服を着ることになっていて、ボタンの着脱に苦労したりする現状があります。だから、校内では体操服に着替えて過ごしていることもあります。
また、中学生は制服がある学校(ほとんどの学校になるのですが)では、登下校は体操服でなく、制服を着ることになっています。
一日中校外学習のときなど、「体操服登校」 という日になり、特例的にジャージを着て登下校します。
また、私は生徒たちは制服が好きであると、ブログに書きました。ただし、実際のところ、自分だけ他の子と違う格好をしたくないという思い、つまりいまの子に特徴的にみられる「同調圧力」のようなものが働いており、みんなと同じなら安心という気持ちが反映され、TV番組のアンケートでは制服が多かったのかなとも考えます。
あと、制服が主流の関西ですが、修学旅行などの宿泊行事では、生徒の実行委員会の発案で2泊3日を私服で過ごすこともありますが、奇抜な服を着てくる生徒は皆無で、まったく問題ないのが現状です。
地域による違いもあると思いますので、幅をもたせて服装論議をした方がいいと思いました。
ありがとうございました。
地域性はその地域の風習、文化なども反映されているのだろうなと、読まさせていただきながら思いました。
関西では、いま話題になっている医療的ケア児のお子さんが、普通学級に在籍されていたり、特別支援学校へもバス通学に看護師がついたりと、障害を抱えるお子さんの学びの意味をどこにもつかと言う点で参考になる話題もあり、自分の勉強になっています。制服とは離れますが、学校のあり方と言う点で、他の地方の取り組みにはアンテナを張っていきたいです。
今後も、ブログを拝見させていただきながら、自分の立ち位置を再考する機会にさせていただきたいと思っています。