箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

増える子ども食堂

2021年01月15日 08時08分00秒 | 教育・子育てあれこれ


貧困の問題が深刻になるなか、地域の子ども(保護者)に無料(低額)で食事を提供する「子ども食堂」が全国で増えています。


子ども食堂は、貧困の問題に意識の高い地域が2012年ごろに立ち上げたのがはじめとされ、おもにNPO法人や地域住民によって運営されています。

当時は、貧困と聞けば、「えっ! この豊かな日本で貧困って?」という人がけっこう多いという状況でした。

もちろん学校現場の教員は、日々児童生徒と接しています。この貧困の問題を子どもの様子や家庭状況を通して気がついていました。

たとえば、修学旅行費を払えないので参加しないという児童生徒がいる。

親が病気で、子どもが家事を全部やっている。

就学援助を受ける児童生徒の増加、高校進学を希望しているが奨学金を必要とする、不登校になっているなど、子どもの変化を肌で感じていました。

国が2009年に相対的貧困率を公表して以来、それまで見えていなかった貧困家庭の問題が社会で広く注目されるようになりました。

相対的貧困率は、世帯所得が標準的な所得の半分以下の所得になっている比率のことです。

いま、子どもの7人に1人が相対的貧困状態にあると言われています。

貧困により、食事が十分にとれていない、一人で寂しく食事をとっていたりする子にとって、子ども食堂の存在や活動はありがたいものです。

このように、子ども食堂はおもに子どもの貧困対策として役立っているほか、地域住民交流のキーステーションとなり、人が孤立するのを防ぐ役割ももっています。

幅広い年齢層の人が集うのが特徴になっています。経済的な理由や家庭事情により、栄養のある食事を摂ることができない子どもを支援するという社会的な役割を担っています。

社会の課題解決は、おもに行政がやるべきことだとは思いますが、NPOやボランティア団体が行政のサポートが行き届きにくい「隙間」を埋める役割を果たしています。

平成30年で約2800か所、令和元年には約3700か所というように、いま全国で子ども食堂が急速に増えています。

東京都がいちばん多く、次いで神奈川県、大阪府が続きます。

子ども食堂を開くためには、いつどこで開催されるかという情報伝達が大切です。また、場所や食材の用意に加えて、調理をするボランティアスタッフが必要です。

多くの寄付が集まる子ども食堂、地域の農家が野菜などを無償で提供してくれる場合もありますが、そうでない子ども食堂もあります。運営資金の確保も課題になっています。

さらに、このコロナ禍で親が失職したりすることで、貧困家庭がさらに増加するのでないかという懸念があります。とくにひとり親家庭が影響を受けやすいのです。

学校は、子どもを通して貧困の問題に敏感になり、子どもや家庭への対応を考えなければなりません。
また、福祉や医療の専門家、子ども食堂運営などのNPOとつながり、貧困家庭のサポートをしていく体制を整えなければなりません。


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