箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

福祉の国とは

2020年07月23日 08時41分00秒 | 教育・子育てあれこれ

私たちの社会では、「あの人とは考え方がちがう。あわない」とか、「あの人のやりかたは、受け入れることができない」などで、人と人のつながりを絶ってしまうことがあります。

国どうしでも自国の利益だけを追い求め、他国との協調関係を顧みない動きが多くなってきていました。

「分断」が深まってきているとでもいうのでしょうか。

人を分断する言動は、相手への敵対心や怒りから生まれます。

そのようなときに、新型コロナウイルスによる感染症が広がりました。

このウイルスは、物理的にも、身体的にも人と人を離れさせました。

でもそれは一面的な見方であり、社会的には分野を超えてつながらなければ乗り越えることはできないことを人びとは知っていたと言えるでしょう。

たとえば、医師会は「感染防止のためには経済活動は二の次だ」という意見をかりに持っていたとしても、「店を閉めれば失業者が増え、生活困窮者が生まれる」と経済界から意見が出ます。

そこで、新型コロナウイルスの流行をきっかけに、お互いに理解し合い、協調し合い、折り合いをつけ、合意を形成する。

そして、ともにつながり合い、その大切さや力強さを、人びとはあらためて感じているのではないでしょうか。

マスクが不足していると言えば、裁縫業の人が手縫いのマスクを考案しました。

夏に向けてマスクをしていると熱中症の危険があると聞けば、衣服メーカーが通気性に優れたマスクを販売する。

医療従事者のたいへんさとその使命感が伝わると、励ましのメッセージや医療用防護服が提供される。

学校が再開すると、感染防止のため、教職員は消毒や手洗いを奨励して指導する。子ども同士が近づきすぎないよう配慮して、必要に応じて注意を促す。

ただし、こうしたつながりは、民間やNPOの動き、職務として、人びとの善意だけから生み出されるだけではよくないと思います。

日本が福祉国家だとするならば、その大原則は「すべての人びとに最低限度の生活を営むための援助を保障する」という理念が貫かれる必要があります。

その点からも、国はその財源を使い、機動的に、タイムリーに、簡易な手続きで、公助のセーフティネットを広げてほしい。

それでも足りないことができてきます。そのときには、民間やNPO等による「おたがいさま」の助け合いが功を奏して、みんなの安心感につながるのはないでしょうか。



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