人間は、自分の経験・体験したことを自分の心のポケットにちゃんと納めるためには、自分のいままでのみちすじを見い出し、納得できる物語にすることが必要になります。
学校教育の中の人権学習では、体験者からの聞きとり学習を生徒たちは何度か重ねます。
たとえば、戦争体験者からの聞きとり、広島・長崎の被曝体験者からの聞きとり、大きな自然災害をくぐり生きてきた人からの聞きとりを生徒たちはします。
当事者かわ自分が受けた、つらく悲しい被差別体験を語ってくれるのです。
聴く側は、その語りや「証言」から、自分の生き方と重ね、人を大切にすることの意味を感じとるのです。
聴いた側はその語りの内容を文章にして、まとめていく活動(「聞き書き」)をしていくこともあります。
それにより、聞き手にとっては、自分の人生観や生き方が変わることもあるのです。
そして、語る側、話す側つまり語り手にとっても大きな意味があります。
話し手も熱が入ってくると、「あ、あのことも話してしまった」と、自分の心の奥底に沈んでいた事実や思いを語ることもあります。
そんなとき、語り手と聴き手の間に心の共鳴が生まれます。
そして、話し手にとっては、「あらためてふりかえると、意味の深い人生だった」と体験の意味づけになることもあるのです。
なかには、自分の体験を否定的に捉えていた人が、意味づけから悲しくつらい体験を受け入れやすくなることも多いです。
体験や経験を語る人とそれを聞いて文章化してストーリー(物語)にする活動を「ナラティブ」といいます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます