私が教員として担任した生徒たちの中には、いま30歳代後半から40歳代前半の年齢になっている教え子がいます。
この人たちは、日本がいわゆる「就職氷河期」に就活をした、「勝ち組」・「負け組」世代にあたります。
その教え子の近況は、社会で活躍して、高収入を得ている場合もあります。
でも、その一方では、非正規雇用、派遣で働き、派遣切りにあいやすいなど、不安定な就労状況にある人も少なからずいます。
日本経済でバブルがはじけ、「失われた30年」と言われた停滞期に就職しようとした世代にあたります。
今、社会では、この世代の人たちが「行き場所」が見つかりにくいという現実があります。
少し話ははずれますが、その後、2000年を過ぎると、SMAPの「世界で一つだけの花」がリリースされた頃から、時代は変わりました。
「ナンバーワンにならなくていい、あなたはもともと特別なオンリーワン」という歌詞が、その時代を端的に表していました。
それとともに、好きなことを仕事にするという価値観がもてはやされたように思います。
しかしながら、就職氷河期世代の人たちは、いま、好きなことを仕事にするというよりも、何よりも安定した仕事に就き、長く働けることを望んでいます。
それなのに、社会はその人たちに「積極性が足りないね」というまなざしを向けるのです。
その人たちに責任を押し付け、努力が足りないからと、自己責任にかえし、解雇します。
そうではないと、私は思います。
少なくとも、私が教えてきた生徒たちは、中学生時代に、将来を夢みて、努力をしてきました。
そもそも、「就職氷河期」は、社会のしくみが生み出したのです。
そのしくみが、この世代を不安定な就労に追いやっているのです。
気になるのは、今回の新型コロナウイルスが不安定就労に拍車をかけないかという点です。
社会のしくみが生み出した問題は、公的なサポートとセーフティネットが用意され、就労を政府が保障すべきです。
そして、安定して仕事に従事でき、長く働けるように、社会全体で支えていくべきです。
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