箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

コロナ災禍が広げる格差

2021年10月03日 06時52分00秒 | 教育・子育てあれこれ
コロナ災禍より前から、ギリギリの家計で、なんとか暮らしを切り盛りしている家庭がありました。

その家庭の子たちは、学校には通えても、学習塾には通えません。

学習塾の学習は、コロナ禍により、オンライン環境がハイピッチで整ってきています。

子どもは、家庭での空いた時間で、オンラインでどんどん教科の学習を進めることができます。

でも学習塾に行けない子は、そのような機会から外れていきます。

コロナ災禍により、前からあった格差がさらに拡大します。

大人にとっての1年が子どもにとっては3年ぐらいに相当します。

学校での学力保障の大切さが、よりいっそう問われています。

少数派と多数派は入れ替わる

2021年10月02日 07時45分00秒 | 教育・子育てあれこれ


そもそも、マイノリティ(多数派=通常は差別されない)とマジョリティ(少数派=通常は差別されやすい)という分け方は、固定的なものではありません。

ある問題ではマジョリティに属する人でも、問題が変わればマイノリティになることもあるのです。

たとえば、障害者問題でなら、いわゆる「健常者」はマジョリティになりますが、集団の中に外国につながる人がいれば、在日外国人問題では、その人はマイノリティになります。

また、このような○○問題という人権課題に限らずとも、「○○県人は・・・」と県民性をひとくくりにしてテーマにすると、その県以外の人はマイノリティになります。

「大阪のおばちゃん」や「スマホ世代」などが固定的な見方や偏見をもって話される場合も同様です。

つまり、マイノリティに入らない人も、あるときには偏見や社会的バリアーにさらされ,マイノリティになることもあるのです。

この状況に納得すれば、人権の課題を「他人事(ひとごと)」でなく「自分事」として考えることができるようになるのでないかと思います。

警察の取り調べ室によく「ハーフミラー」が使われていますが、取調室からは部屋の向こうが見えませんが、部屋の向こうからはガラスのように取調室の中を見ることができます。

マイノリティとマジョリティの関係は、そのようなものです。マジョリティの側からはわからなくても、マイノリティの側になってはじめて、その不合理さや理不尽さに気づくことが多いのです。

だから、マイノリティが不合理や理不尽をなくしていくべきと声をあげると、無理解・無自覚なマジョリティは、バッシングしたりするのです。

わたしたちは、どんな問題にせよ、当事者の声を傾聴し、偏見や社会的なバリアーだ存在することに気づいていくことが課題であり、それは児童生徒が学ぶ人権教育においても課題になるのです。

以上がたんに他人事で終わらず、自分に問題を引きつけ、自分事としてとらえる人権学習のポイントになると思います。

出生率を上げるには

2021年10月01日 07時17分00秒 | 教育・子育てあれこれ


日本では少子化が進行しています。

そこで、女性が働きながら子どもを産むことができる環境を整備することが喫緊の課題です。

男女共同参画社会が進行拡大すると、女性の結婚の時期が遅くなることもあり、出産年齢が高くなりました。

それ以外にも、生みたくても妊娠しにくい女性がいます。

政府は2022年度から不妊治療の保険適用の範囲を拡大する予定です。不妊治療は高額で金銭負担が問題でしたが、保険が適用できるようになると、患者さんは3割負担が原則で済むようになります。

もちろん、この制度の充実だけで出生率が若干は上がることは予想できますが、ものごとはそれほど簡単ではないです。

戦後のベビーブームを支えていた世相と今では状況が異なります。

当時の日本経済は高度経済成長期で、見通しは明るく「産めよ、増やせよ」のイケイケムードでした。

しかし、いまは、低経済成長、長引く経済の停滞、感染症の拡大、自然災害の多発など、閉塞感が漂う事情です。この世相で子どもを産むには勇気がいります。

さらに、いまは一人の子どもを成人させるのに、教育費、生活費等で莫大なお金がかかります。

また、共働き世帯が普通になった今、とくに子どもが幼少の幼少の場合、親は忙しい中をやりくりして、子どもの送迎に奔走するのです。

さらに、子育てを近所の人が助けてくれることはほぼなくなり、親だけの責任が大きくなっています。

出生率が低いのは、複合的な要因が重なり合って、今の低さになっているのです。

複合的な要因には、総合的な対策が必要になります。