ちび庭日記

借り家住まいのちいさな庭の植物達を中心に、身近に感じたことを載せてゆければいいな~と思っています…(^_^)。

あまおとすずし 秋の庭

2005年10月09日 | 京都
行ってきました大徳寺大仙院。教科書に出てくる枯山水の代表格。ここか龍安寺か平泉の毛越寺か、っていうやつです。もう、すっかり堪能。まさに、深い山奥からとうとうと水が湧き出てくるような。なんというか、わかりやすいお庭ですね。高度に抽象的な竜安寺石庭に対して、かなり写実、というか箱庭(ミニチュア)的な、大きな空間をキュ!と詰め込んだような。眺めているとちょっとわくわくする感じ。掛け軸の水墨画に描かれた山道を目でたどるような楽しさがあります。残念ながら写真撮影禁止なので、短時間でせっせとスケッチ。石の位置関係は分かったかな?

いや~、雨の時のお庭というのも、とっても良いものですね。「今日は枯山水に水がある」っていう、案内してくださったお坊さん。一番有名な、「上流」をあらわしている奥の枯山水が渡り廊下へと消える直前に、ひとつまん中が穿たれた平べったい石が、半ば白砂に埋もれてあります。その昔、千利休が、雨水のたまったその石を見て、「つくばい」を思い付かれたのだとか!おお、そうかあ。彼が思い付くまで「つくばい」って、なかったんだあ。今じゃどこのお庭にもあるから、なんとなくもっともっと古い時代からあるような気になってた。そうだよなあ。つくばいって、茶庭の構成要素だもんなあ。

説明を聞くっていうのも、いいもんですね。そこで始めて、最初入口で見た全くの砂だけの平たんなお庭が「海」を表していたことを知る。来た時は、「なんだこりゃ?ずいぶん愛想のない庭だ」と感じたのですが、なるほど、ちゃんと意味があったんだなあ。説明を聞いてよく見ると、波の形に描かれた砂の紋。とたんに、脳裡に大海原の風景が広がるのだから、不思議なものです。「上流、中流、下流、海」と分けられた庭。石の数がだんだん減ってゆくのですが、それは人の一生に例えられてもおり、修行をすすめるにつれ煩悩(石)の数も減っていく、ということを暗喩しているのだとか。ほんとにそんなには、減らないよなあ~。秀吉に始めて利休がお茶をたてた部屋、沢庵和尚が宮本武蔵に剣術を指南した部屋。いったい、どの木がそんな光景を眺めていたのでしょうか?

そして、細川ガラシャ夫人が眠る高桐院へ。ここのお庭は、とにかくすうっと伸びた紅葉の幹が美しい。やっぱり、前から来てみたかったお庭のひとつです。続く茶庭の美しいこと。ほんのりと色付きかけた木々。どこから写真をとっても絵になります。雨にぬれた露地の石の美しいこと。なんだか、宝石箱の中にいるようです。ついつい長居。紅葉が本番になったら、本当にたまらない景色でしょうね~。

夕方になり、妙心寺境内の東林院へ。こちらは、おばんざいを作る和尚さんで有名な塔頭。でも、有名な沙羅双樹(ナツツバキ)が、虫にやられたのかまだ時期ではないのに葉がかなり落ち、片側がずいぶん枝打ちされているのが、ちょっと心配でした。来年の初夏に来たら、きれいな花を見せてくれるでしょうか。今日は「梵灯の灯りに親しむ会」ということで、ろうそくの灯りだけで照らし出された境内で虫の音を楽しむという、とってもゆったりした時間を過ごすことができました。ずいぶんわずかな光ですが、だんだん暗闇でも目がなれて、そのうち縁側の木目まで見えてきました。昔はこんな中で夕食をとったりしたのでしょうか。うっすらと照らし出された畳や柱に、なんとも言えない安らぎを感じます。たまにはこんな夜も良いですね。

☆今日のちび庭気温 18~22℃ 曇り~雨 今日は寒露だそうです。さあ、秋本番。観光シーズンにはいってくるかな?