チャーリー・パーカーの気持ち？

　母の知人が豪華客船・飛鳥2で世界一周クルーズの旅に出かけるというので、遼介とkさんと３人で見送りに横浜大桟橋まで行った。一泊20万、９０日間世界一周の旅なので、なんと一人あたり総額1800万だ！どうやったらそんな旅行ができるのだろう？あるとこにはあるもんだなあ。私たちは一生ムリだけど、そんな船の内部を偵察できるかも、と思ってイソイソ出かけた。

　ところがどっこい、乗客以外は乗せてくれない。くっそ～、飛鳥のケチ！他の日本丸とか、パシフィックヴィーナスとかは見送り人も出航３０分前まで船内に入ってもいいシステムなのにぃ。

　なぜ、そんなに詳しいかと言うと、7年くらい前から時々船のクルーズでダンスバンドのお仕事をやっている。しかも林栄一さんのトラ。世界一周とか、タヒチクルーズとか海外はもっぱら林さんが行ってしまうので私は常に国内クルーズ専門。それでも１週間、10日間と結構長旅になる。昔は船会社もお金があったと見えて、ギター、シンセ、ピアノ、サックス、ドラム、ベースと６テットでやっていたのに、だんだん景気が悪くなり今じゃたいてい４人で演奏している。それでも日本人が演奏するのはまだ良い方で、ひどいときは、フィリピン人の乗組員たちがクルーズ兼ダンスバンド（もちろん素人）をやっているそうだ。

　船の旅はやはりお年寄りが多い。お金と時間に余裕があって社交ダンスのできる年代。なんでこんなにみんな踊れるのか不思議なくらいだ。ルンバ、チャチャ、スイング、ワルツ、などのリズムを交互に演奏し、毎晩30分ステージを3~5回こなす。曲は殆ど決まっているので、毎日毎日演奏しているとだんだん飽きてくる。当然、短いアドリブのところは燃える。本来は静かにダンスの邪魔にならないように演奏しなくてはいけないのだが、すきを見つけて２本吹きで遊んだり、ソロでお客さんから拍手をもらってしまったり・・・あんまり派手に遊ぶとあとで船会社からクレームが出てしまうので、そのあたりはうまくやらなくてはいけない。そう、あくまでもダンス主体のバンドですから。でも演奏しながら、あ、これって、どんどんアドリブに変化をつけてダンスバンドでジャズ演奏していたチャーリー・パーカーの気持ちかな？ってちょっとだけわかった気分になった（おこがましい。）
　
　また６、７月もクルーズの仕事に出かけるけど、林さんは「船の仕事ってさ、なんだか囚人になったようだよね」といいながら結構楽しんで航海に出ている。私もイルカの大群を見ながら船のてっぺんでサックスの練習をしたりして本当に気持ちいい。海を眺めながら船尾の大浴場に入るのも極楽だし。ちょっと油断するとデブになるから気をつけないといけないけど・・・（汗）。ああ、飛鳥で世界一周、ダンスバンドでいいから連れて行ってほしいよ～ん、と言いながら中華街で肉まんを買って帰ったのでした。ふ～。