愛媛県美2日目のレポートです。
「2日目のレポートもするの?」と鈴木さんに言われましたが、「みるみるの会」では、美術展に出かけた会員にレポートを課している(金谷さんはよく書いてくださいます)ので、代表の私が1日目だけというサボりは許されないでしょう・・・。ということで、2日目です。
2日目は、鈴木さんのトークは午前中2回計画されていましたが、私は、1回目をパスして、常設展示室の展示と南館で行われている「えひめこども美術展」をみることにしました。
昨夏MIFFY展で来館した時には、両親と娘が一緒だったので、MIFFY展のみ鑑賞して帰ったので、今回は愛媛県美のコレクションをぜひみたいと思っていたからです。また、「えひめこども美術展」は同じく昨夏島根で開催された「中学校美術Q&A」でレポート発表してくださった木村先生の取組の成果がみられると思い、興味がありました。
まず、2Fに展示中の常設展示をみました。「安田靫彦と小倉遊亀展」に併せてなのか日本画を中心に展示してありました。若いころは日本画をどこか古くさい、物置の中で眠っているような物という意識しかなかったのですが(これって、美術教師失格ですよね(苦笑))仏像にしろ、日本画(軸物も、屏風も、扇面画)にしろ、その美意識の高さに気付けるようになったのは、歳を得たことも大いに影響していると思いますが、やはり対話型鑑賞を実践する中で、日本のもののよさに気付けたからだと思います。そこにも本当に感謝したいと思います。年末にACOPオーディションに参加するために京都に出かけたときにも、間隙をぬって新装なった国立博物館を訪れ、房野さんと仏像や銅鏡、陶芸品、刀などの品々をみながら、ため息をつき、日本の美術の奥深さを再確認したので、日本のものにもじっくりと向き合えるようになった自分の成長に、ちょっと誇らしい気持ちを味わいながらみて回りました。
また、もう一つ、素晴らしい作品群との出会いがありました。
「★吉田勝彦―小さな永遠【常設展示室】 」です。
版画の作品展でした。メゾチントやエッチングなど凹版画の技法を駆使した作品でした。カラーの作品もあり、重版したのだと思いますが、その静謐で精緻な作品には息をのむ思いでした。写真と見まがうようなものもありましたが、写真とは違う陰影の温かさは、人の手仕事の温かさに通じるのかなあなどと思いながら、貸切の室内を行ったり来たりと飽きもせず眺めていたら、あら大変!!こども美術展をみる時間が無くなっちゃう!!と焦って、南館に向かいました。
作品は南館の1~3階フロアを使っての展示でしたが、1Fしかみれませんでした。でも、1Fの作品をみただけで、愛媛の先生方の子どもの図画工作・美術に関する取り組み意欲がビンビン伝わってきました。どの作品にも子どもの言葉の入ったキャプションが付いています。また、作品からは、子どもたちが楽しみながら作品を作っているという感じが「色」や「形」や描かれているものの「表情」から伝わります。色使いも、既成の概念にとらわれないもので、みているこちらも思わず微笑むような、そんな作品です。
中学生の作品も、作品を描くことに対して「義務的」でない、自分の思いや考えがよく練られていて、描きたいものを描きたいように描くことができているように思いました。普段から、作品の制作に対しての動機づけ、意欲を喚起する手立てがしっかりと立てられて、授業が行われていることが、作品をみるだけで伝わりました。図工や美術の時間が削減されて、時間がないことを嘆き、作品のレベル低下を嘆く前に、自分たちにできることは何なのかをもう一度考えていく必要が島根県にはあると痛感しました。来週は島根県小中学校図画作品展の展示作業に出かけますが、他県にも誇れる作品展に今後変革していきたいとの思いを強くしました。全国高文祭に出品される高校生の作品が協賛で展示されているのも、中学生にとっては刺激になるので良い取り組みだと思います。こういうことは島根県でもすぐにできることなので、来年度に向けて要検討事項だと思いました。
展示風景や作品の画像がなくて申し訳ないのだけれど、FBでつながっている全国の美術関係者からの情報によると、この時期、全国的に図工・美術の作品展が開催されているようなので、来年は「みるみるの会」で、作品展見学ツアーをしてもいいのかなと思いました。井の中の蛙になっていてはいけません!!島根の良さも大事にしながら、他県の刺激も受けて、図工・美術教育を変革していきたいです。
鈴木さんと昨晩ご飯を一緒した時に、鈴木さんが、「今後10年、対話型鑑賞の普及に、学芸員として身命を賭して取り組む。」と宣言されましたが、私は残された教職年で「島根の図工・美術展」のあり方を変革することに取り組む!!と宣言したいと思います。何から始めるかは、ちょっと策があるのですが、異動も絡むかもしれないので、4月以降にアクション起こします!!
と、話が、展示をみながら、島根の美術教育の未来に思いがそれていってしまってますが、そのくらいの刺激を受けた、インパクトのある「えひめこども美術展」でした。
さて、もうちょっとみたかったなと思いながらも、鈴木さんのトークもみたいので、企画展示室に戻りました。昨日と作品を変えて行うということなので、また、期待が高まります。どんな話が飛び出すやら、ワクワクです!!
作品は画像でもチラッとみえていると思いますが、牛若丸が鞍馬寺にかくまわれていた時の様子を描いたものです。掛け軸になっています。中学生はやはり10名くらいでしょうか。ただし、学校はみんな同じで、美術部の生徒達でした。
昨日と同様に、しっかりみてもらいました。作品が、展示室の角にあるので、他の鑑賞者の邪魔にならないようにとの配慮から、前の方にいる生徒に座るように促されました。長時間立ってみるのは大人でも苦しいので、よくみた後には座らせるのが私はいいと思います。美術館の床はフローリングでもカーペットでも、きれいに掃除されているので、座るのにあまり抵抗はないと思うからです。座った生徒の後ろに立っている生徒がいて、集団がキュッと固まったのもいいと思います。離れていると一人のような気がして、ものが言いにくいからです。近くに仲間がいると、親近感があって、ものが言いやすい雰囲気が生まれると私は思うからです。
昨日と違って、同じ学校の美術部の生徒たちなので、学年の違いはあっても、よく顔を合わせている仲なので、発言はしやすかったと思います。昨日と同様に、名前を聞きながら、名前を呼んで、意見を聴き出していかれました。後ろにいる人物についての意見から出ました。手を目の上にかざしているので、遠くを見ている。右手に武器のようなものを持っているので、前にいる人を守っている。台のようなものの上に乗っているので、この人は、普通の人間ではないのではないか。衣装が日本のもののようではなく、アジアのどこかの国のようだ。肌の色も黒いので、この人は、日本人ではない。など、多くの意見が出て、この人物は「人ではなさそう・・・。」「異国(アジア)から来た。」などに意見が集約されていきました。「教えない」ことを自らに課している鈴木さんは、婉曲な表現で小まとめされましたが、ここは、ネタばらし、「多くの人が言ってくれているように、この人は、人間ではありません。仏像です。」と言ってもよかったのではないかと思いました。この思いは鈴木さんも感じていた様で、この後のMTGで、同じ思いでいたことが確認できました。1日目のレポートでも課題にしましたが、やはり情報を与えるか与えないか、どのタイミングで与えるかは、本当にナビのこれからの課題だと思います。2015年のみるみるのテーマにもなりそうです。話がまた、それてしまいました。さて、後ろの人物についてみた後、前にいる人物についての意見を求めましたが、「高価そうな衣装を着ている。」「後ろの人に守られて、気を許してリラックスしているみたい・・・。」「口が開いているので、ここには描かれていない、絵の外側の人と何か話している。」などの意見が出ました。また、美術部員らしく、色使いや構図についての意見も出ました。「白い衣装を引き立たせるために、後ろの人が乗っている台座の色がくっきり黒色をしている。」「朱の柱が、白い衣装を引き立たせている。」「柱があるので、この人が後ろにいるのがはっきりわかる。」などです。意見は、どんどん出るという感じではなかったのですが、ぽつぽつとではあるが、当てれば切れ目なく出るので、かれこれ1時間もみながら話していました。最後にタイトルの紹介があって、鞍馬寺に行くとこの像がみられることも話されました。修学旅行で京都に行ったら、鞍馬寺はちょっと遠いけど、行ってみると観られると鈴木さんが話すと、うなずく生徒も何人かいました。
この後、控室で鈴木さんと反省会をして、美術館前のイタリアンでランチを食べ、「さよなら」をして、松山駅から高速バスに乗って帰路につきました。慌ただしい2日間でしたが、みるみるの会員以外のナビをみられることは貴重な経験で、学ぶことが多かったです。昨夏松山を訪れて、道後温泉に泊まり、松山城や坂の上の雲ミュージアムなどは訪れていたので、今回は観光はしなかったのですが、十分に満たされた2日間でした。
鈴木さんの10年の決意にみるみるの会として協力する場面があるとのことなので、その時に向けても、1月25日から始まる2015年のみるみるの活動を一層充実させていかなければと、車中で、新春の瀬戸内海を眺めながら決意も新たにしました。
2015年もみるみるの活動をどうぞよろしくお願いいたします。
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