まだ午前中だ、ついでに給油もしておこう。
ガソリンスタンドへ向かう。
バックミラーにバイクが映った。
いつものことだ、先に行かせてやろうと左に寄り、右手で先に行くよう合図をするカブ90。ミラーに映るバイクの大きさが変わらない。
ん?分からなかったか?じゃ、もう一度。
SRに乗っていて後続車に道を譲る。
車ならハザードランプを点滅させて(昔は控えめにクラクションを鳴らして)抜いていく(ことがある)。
バイクなら左手で「お先に」と礼のサインを送りながら抜いていく(ことがある)。
どちらも「ことがある」程度で、「必ず」ということではない。
まあ、バイクなら半分弱、車の場合は2割くらいか。ハザードの点滅を見るとちょっと感激というか「ああ、道を譲って良かったな」と思ったりするくらいだから。ほとんどはそんなことはしないという証拠だ。
当然「そんなことをするより前方注意。安全運転に徹すべきだ」というのは正論だ。
ただ、機械は人間が扱っている。それを人間には到底できる筈もない速度で走らせている。「事故、その先にある死」を回避するために絶対に必要なのは「間」、だ。「間」とは「読み」「思い遣り」のことだ。その「間」は計算づくで導き出せるものではない。
しかし、カブに対してとなると、自転車以上に注視されていないのじゃないかな、と思うことがある。
車から見れば自転車もカブも同じく「道路上の動く障害物」に見える。
ただ自転車は車と同等の速さで走り続けることは出来ないから、「(障害物としての)存在感」は圧倒的で、並走中の事故はほとんどない。
対して小排気量のバイク(の中でも特にカブ)は車と並走できるということを車に乗っていると失念することがあるのではないか。
原付は30キロ制限だが、それ以上の排気量になると、早い話、49ccが50ccになっただけで車と同等に走って良いことになっている。
「カブと言えば原付に決まっている」、なんて・・・。
昔から90のカブはある。最近は125㏄のカブだってある。
それを「カブと言えば原付に決まっている」、と未だに思っているドライバーは結構多い。だからナンバープレートの色なんて見分けようともしない。
(もしかしたら各自の好みで色を付けてると思っているかも。・・・それはない、か。)
あ、脱線した。
今日の、道を譲ったバイク。譲られたことに全く気が付かなかったようで、ごく普通に走り去っていった。
それが信号待ちで追いつく。信号が変わってもなかなか走り出さない。どうした?と思ったところで走り出し、今度は次の信号で並んでしまった。
どうしよう。こっちはカブだ。あちらは250のバイクだ。先に行かさなければ危ない。信号が変わり、走り出す。えらく出足が遅い。後続の車がスピードが乗って来る前に、仕方なしこちらが精一杯のフル加速で先行する。
ガソリンスタンドに入ろうとした時、同じく入って来るのがハンドルミラーに映った。
華奢な体つきで女性だということは分かっていたが、「かっこいいですね」と声を掛けたら「ありがとうございます」とフルフェイスのヘルメットから見えた眼が笑っていた。
女の子独りで懸命に走っているのはやっぱりカッコいい。
勿論、カブの爺さんはそんな余計なことは口にしない。
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