産院の取り違え事故って本当に結構あったみたいですね。それをもとにしたテレビドラマなんかも何度か見たような記憶があります。
そういうことにならぬよう足の裏にマジックで番号を書いたとか。
「赤ちゃんのお肌はデリケート~」というようなCMも同じ時期に見たような気がするので、「マジックでなんか書いて大丈夫か?」と思ったことも。
添い寝の件なんかは、「母親が添い寝していて寝返りを打ち、赤ん坊を窒息死させることがあるから危険なんだ」と。確かに。
ただ、交通事故と一緒で、どんなに注意しても「魔の瞬間」というものがあると同じで、「だから車はなくすべき」は些か論理の飛躍が過ぎること、美術館の名画にペンキをぶっかけることや道路に座り込みをして交通妨害をするのと同じ。
今思い出してみると色んなことで随分な思い違いが横行していたような気がします。それに加えて他者にその価値観を受け入れるよう強要する。
・・・・何だ、今も同じということか。
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「パンばかり食べているとバカになる」は、本当だ。 (後半)
この辺までは無知ながらどこかに善意は感じられるが、GHQの施策にはそうではない悪意から出たものも結構ある。
クロフォード・サムスは日本人の頭にDDTをぶっかけた男だが、その次にやったのがマーガレット・サンガーと加藤シヅエを使った産児制限強制だった。
フランクリン・ルーズベルトは「日本人は四つの島に閉じ込めて滅ぼせ」と遺言した。ポエニ戦役で敗れたカルタゴのようにと。
それで「四つ」以外の台湾や朝鮮は没収。軍隊は解体させ交戦権も奪った。ローマがカルタゴに提示した降伏条約そのままだ。
加えてこの産児制限で人口を減らし、滅びをより確実に早めさせた。
実際、日本の人口はもう少しすると先の大戦前のそれを割り込むだろう。
サムスはもう一つ仕掛けをした。日系米国人が祖国の窮乏を救うためにいわゆるララ物資を始めた。
米政府もしょうがないから家畜飼料の脱脂粉乳を出したが、その際に始まった給食に便乗してきた。パン食の普及だ。
彼らは呼び水に約18万トンの小麦を供与し、見返りに「パンを中心とした給食」を法制化させた。
山村明義『GHQの日本洗脳』によればマクバガン上院議員は「これで日本を将来にわたる小麦の大口買い入れ国に仕立てられた」と語っている。
「コメを食うと頭が悪くなる」伝説が伝播されたのもこの時期。朝日新聞は「次代の子供たちまでコメ食につきあわせるな」(1964年)と米国からカネを貰ってパンの宣伝をした。
かくてコメ離れは進んで2011年にはパンとコメの購入額が逆転している。
小学1年の道徳教科書にあった「パン屋」の話を「和菓子屋」に変えたら検定をパスした。日本の伝統と文化はパンでは語れないという趣旨だ。
それに朝日が嚙みついた。「パンには伝統も文化もないのか」と。
そう。何もない。代わりに頭が悪くなるグルテンと年季の入った米国のズルさがどっさり入っている。
コメの飯を食え。少しは歴史も見えてくる。
(2017年4月27日号)
新潮文庫
「変見自在 トランプ、ウソつかない」
高山正之著 より