なんて書き始めたけど、別に大騒ぎをするようなことじゃない。
田舎に戻っていた時、町内会で係にあたった家が、年末、神宮の大麻(神札)を配って歩くというのがあった。
こっちに戻ってきて、年末になると靖国神社の神札が送られてくる。
その際に、いつも「あ、神宮の大麻」と思うんだけれど、なかなか年が改まるまでに地元の神社に参れなくて。
神札は幣串の代わりで、幣串は元々紙の御幣ではなく麻の繊維をつけたものだったようで、本来はお祓いを受けた証として渡される「神札」には札ではなく、麻の繊維が入れてあったらしい。今でもお祓いの時には麻の繊維を束ねたものを付けたお祓い棒を使う神社が結構あるんじゃないかと思う。
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《「大麻は悪いもの」と決めつけたマッカーサーの本当の狙い》
「相棒」行きつけの小料理屋「花の里」の女将、高樹沙耶が大麻で捕まった。
捕まえたのは厚労省の盲腸こと麻薬取締部。警察がやっているんだから潰しちゃおうかという声が出るたびに大物や有名人をパクっては生き延びてきた。
ポール・マッカートニーをパクったのもここ。高樹沙耶をパクってたぶん今ごろ、これであと5年は大丈夫と部長以下は思っている。
沙耶はこう言っていた。
「大麻は生薬です」「危ない麻薬ではありません」「清浄効果もあり、日本では神聖な植物とされてきました」
それはすべて正しい。
戦前の日本薬局方には大麻主成分のカンナビノイドがちゃんと薬として記載され、緑内障や鬱治療に処方されていた。
米国でも1990年代、大麻の効用を知った。あのころロサンゼルスにある末期エイズ患者の専用病棟に行ったことがある。
体中にカポジ肉腫ができ、隙間はカンジダが埋め、口から喉まで口内炎が広がり、絶え間ない痛みは患者から生きる気力を奪っていた。
そんな患者に大麻が投与されると眉間が開き、食欲が出て笑顔も見えてくる。
昔、蚊帳に入った時の、あの麻の香りが醸す何かに包まれた安堵感というか、幸福感を思い出すといい。
空気も澄んだように思う。その清浄感は錯覚ではない。神社の聖域に張られる注連縄も神に奉納される相撲力士のまわしも麻が使われる。大嘗祭で陛下がお召しになるあらたえ(荒妙・新衣)もまた大麻で織られたものだ。
そんな麻が戦後、一転して不浄の麻薬とされた。決めたのはマッカーサーだ。
社会の害毒と彼は言ったが、純粋覚醒剤のヒロポンの方は野放しだった。
主成分メタンフェタミンは大麻より高揚感は強く、効果は10倍も続く。その分、薬が切れた後の落ち込みは深く、だからまたやりたくなる。習慣性がある。
なぜマッカーサーはいい大麻を禁じたのか。
ササン朝ペルシャを倒したサラセンが同じことをやっている。彼らはペルシャ人にゾロアスター教からイスラムへの改宗を迫った。
このときサラセンはゾロアスター教では神の使いとされた犬を不浄の動物に堕(お)とし、見かけたら石で打つよう命じた。
日本の神々に通じる大麻を麻薬に堕とし、蔑む悪意が透けて見える。
だから大麻が悪いとする化学的根拠などないし、だいたいGHQの連中にまともな医学知識もなかった。
いい例が「野蛮な日本人の育児を変える」と乗り込んできたクロフォード・サムスだ。彼は産後の母子同室を禁じて乳児を別室に追いやった。ために日本では起きたこともなかった赤ちゃん取り違えの悲劇が続いた。
なぜこんなバカをサムスは言ったか。彼らは「乳児は誕生後数か月間は目も見えない、耳も聞こえない植物状態にある」(山村明義『GHQの日本洗脳』)と頑なに信じていたからだ。
日本人がその間違いを指摘し続け、80年代になってWHOがやっと日本説を正しいと判断し、今は誕生後すぐ母子添い寝が当たり前になった。
そんな無知で悪意だらけの白人連中が日本の法律をいじくりまわしていたのだ。
彼らは憲法も同じように悪意をもって改変した。
朝日新聞お抱えの憲法学者、長谷部恭男(やすお)はこの押し付け憲法を「米国からの贈り物」と崇め、多様な価値観の存在を認める「米憲法と同じ精神」だからと三跪九叩頭して拝んでいる。
何が多様な価値観だ。米国憲法は多様な人種の存在すら認めてはいない。現に先住民を淘汰し、黒人奴隷の酷使も殺害も許してきた。
そのくせ彼らが虐げてきた黒人たちからの報復は怖い。それで彼らは米憲法修正第2条をつけ加えて白人が武器を持って返り討ちにする権利を認めている。
そんな米国憲法の精神のどこが立派なのか。長谷部みたいなアホ学者がGHQの悪意をぼかして日本人を盲(めし)いさせている。
条文解釈もいいが、たまに立法意図も考えるがいい。手始めに沙耶の大麻取締法違反を吟味する。その法律に米国人の悪意が介在したなら法を廃せ。
彼らが関わった法を一つ一つ吟味して悪意あるものを廃止していく。
そうしていけば天皇を「象徴」にした憲法の扱いも自ずと見えてこないか。
(2016年11月10日号)
新潮文庫
「変見自在 トランプ、ウソつかない」
高山正之著 より
「変見自在 トランプ、ウソつかない」
高山正之著 より