二ヶ月余り前。
カブのエンジンが暖まってくると、ニュートラル時のアイドリングが狂奔し始める。そして一速に入れた瞬間、カブが飛び出そうとする。
90ccとは言え、それなりにガクン!と来るから危なくてニュートラルにできない。
何度かアクセルを煽ると収まるんだけど、収まらないこともある。
そういう時は「ガクン」と来ることを覚悟するしかない。
何とかしなけりゃと思って、「一度見て欲しい」とバイク店に言ってはいたが、なかなかエンジンが暖まった状態で店の前を通る機会がない。
けれど、やっとのことで条件が揃い、店の前でカブを停める。
店長、長いドライバーを持って来て、アイドリング調整ネジをちょっと触った後、今度は「そんな窮屈な角度で?」と思うような所についているネジを弄り出した。すぐにアイドリングの調子が安定した。
「アイドリングスクリューとエアスクリューの二つのネジをバランスよく締める(或いは緩める)こと」
、というのを、三十年以上バイクに乗っていて初めて知り、
「これは自分でやらねば」
と思った。
大方のバイクは、アイドリングは道具なしでできるようになっている。
が、カブはマイナスドライバーが必要になる。
更にエアスクリューの方は、というと普段は弄らないものだから、というか弄らない方が良いから、妙な角度のところに、それも普通のドライバーではできないような奥の方に付いている。
新しい形になるとネジの頭まで妙な形にしてある。言ってみれば素人が触ることを拒否しているネジ。
何だか岡本太郎の「座ることを拒否する椅子」、みたいだけど。
(その割に決心して座ったら意外と座り心地が良いそうで。岡本太郎もそれを狙ってのネーミングだったとか。そんなところも妙に似ている)
だから、これ以降「思いついたら気軽にできるアイドリング調整」だけ、は、結構やっていた。
一か月前。
買い物に行くため、カブを引き出した。
湿度が高かったせいだろう、何だか調子がおかしい。
それなら、とエアスクリューを少し弄った。
エンジンが掛からない。また弄って掛けようとする。
掛かりそうな音がするのにかからない。
こうなりゃ意地だ。
段々掛かりそうな雰囲気の音すらしなくなった。
薄暗くなって遂に諦め、当然買い物に行くことも諦めた。
翌日の雨を挟んで、再度弄り始める。
今度は呆気なく掛かった。
以降、カブで出るときはその都度、長いドライバーを持って出た。
気がつけばそれからもう一ヶ月。
もう持って行かなくてもいいかな、と思い始めて数日。
でも天災は忘れた頃にやって来る。
用心に越したことは無い・・・・だろうか。
それとも杞憂となるか。
まあ、一点を見詰めていれば、必ず他で不都合が生じるものだから。
大本である、乗る奴の体調を整えることの方が大事だろう。
カブのエンジンが暖まってくると、ニュートラル時のアイドリングが狂奔し始める。そして一速に入れた瞬間、カブが飛び出そうとする。
90ccとは言え、それなりにガクン!と来るから危なくてニュートラルにできない。
何度かアクセルを煽ると収まるんだけど、収まらないこともある。
そういう時は「ガクン」と来ることを覚悟するしかない。
何とかしなけりゃと思って、「一度見て欲しい」とバイク店に言ってはいたが、なかなかエンジンが暖まった状態で店の前を通る機会がない。
けれど、やっとのことで条件が揃い、店の前でカブを停める。
店長、長いドライバーを持って来て、アイドリング調整ネジをちょっと触った後、今度は「そんな窮屈な角度で?」と思うような所についているネジを弄り出した。すぐにアイドリングの調子が安定した。
「アイドリングスクリューとエアスクリューの二つのネジをバランスよく締める(或いは緩める)こと」
、というのを、三十年以上バイクに乗っていて初めて知り、
「これは自分でやらねば」
と思った。
大方のバイクは、アイドリングは道具なしでできるようになっている。
が、カブはマイナスドライバーが必要になる。
更にエアスクリューの方は、というと普段は弄らないものだから、というか弄らない方が良いから、妙な角度のところに、それも普通のドライバーではできないような奥の方に付いている。
新しい形になるとネジの頭まで妙な形にしてある。言ってみれば素人が触ることを拒否しているネジ。
何だか岡本太郎の「座ることを拒否する椅子」、みたいだけど。
(その割に決心して座ったら意外と座り心地が良いそうで。岡本太郎もそれを狙ってのネーミングだったとか。そんなところも妙に似ている)
だから、これ以降「思いついたら気軽にできるアイドリング調整」だけ、は、結構やっていた。
一か月前。
買い物に行くため、カブを引き出した。
湿度が高かったせいだろう、何だか調子がおかしい。
それなら、とエアスクリューを少し弄った。
エンジンが掛からない。また弄って掛けようとする。
掛かりそうな音がするのにかからない。
こうなりゃ意地だ。
段々掛かりそうな雰囲気の音すらしなくなった。
薄暗くなって遂に諦め、当然買い物に行くことも諦めた。
翌日の雨を挟んで、再度弄り始める。
今度は呆気なく掛かった。
以降、カブで出るときはその都度、長いドライバーを持って出た。
気がつけばそれからもう一ヶ月。
もう持って行かなくてもいいかな、と思い始めて数日。
でも天災は忘れた頃にやって来る。
用心に越したことは無い・・・・だろうか。
それとも杞憂となるか。
まあ、一点を見詰めていれば、必ず他で不都合が生じるものだから。
大本である、乗る奴の体調を整えることの方が大事だろう。