正月一日に転載というのも、と思う以前にこの記事は正月一日にはどうも似合わないので、今日のうちに転載しておきます。
以下の自画自賛についての記事、なるほど一度読んだ後は眉に唾つけて読み直してみたくなります。
しかし「自画自賛」という言葉、見事な形容(四字熟語)です。自分の作品を自分でほめる。我々はこれをやるとこっぱずかしくって顔が真っ赤になるから、世界から舐められる。
かと言ってふてぶてしくなれないのが日本人なんですが。
とにかく「外交の極意は正心誠意(by勝海舟)」。
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パンパカパーン、「快進撃」を自画自賛する中国
世界第二位のGDP、自動車輸出はついに日本を抜いたゾ
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中国が「これでもか!」と自画自賛する数字を「環球時報」などの報道を元にしてちょっと並べてみよう。
(1) 自動車輸出は日本を抜いて世界一となった。事実、23年11月速報で中国の自動車輸出は430万台 >390万台(日本)。ロシア向けのほか、南米が多いが、多くはガソリン車かディーゼル。EVは欧州向けに少量。
(2) 交通アクセスに格段の改善。輸送インフラは600万キロ。新幹線を含む鉄道の営業キロは155000キロとなった。高速道路が過疎地まで延びた。
(3) 研究開発費に4200億ドルを投じた
(4) 穀物生産は1兆4000億ドルに達した
(5) 貿易額は5兆9200億ドルで、世界一。
(6) 都市部で1100万人の新雇用が産まれた
(7) 4億人が貧困から中産階級となった(可処分所得は2325ドルから36880ドルに延びたとか。情報ソウスが曖昧)
(8) そして中国のGDPは17兆ドル(およそ2280兆円。日本の3・4倍強)
この誇大宣伝風的な、信用できない数字羅列の裏側で、中国全体の負債が1京円を超えたこと、社会融資総額およそ8000兆円の大部分が不良債権であること。GDPの30%を占めた不動産バブルが崩壊したこと。習近平の目玉「一帯一路」が世界中で頓挫していることなどを発表していない。若者の失業率が公表の21%でなく、46%強もあることにも口をつぐんだままだ。
また中国が自慢するEVだが、BYDを例外に軒並み倒産していること、「愛馳汽車」は従業員の給与を支給できず販売は536台だったことなどには沈黙している。ほかにもEVメーカーの拝騰汽車、賽麟汽車、威馬汽車などが倒産か経営困難に陥り、EVはそれほど売れず、じつは在庫の山となっていることなどにも触れていない。
針小棒大というより、何事も誇張して自慢し周囲で優位を誇示しようとするのも中華思想の表現方法の一種だろう。つねに国際舞台で「中国は唯一合法の存在」「台湾は中国の一部」と五月蠅く口にするのは、劣等意識の裏返し。中国共産党に合法性はないから、合法の存在だと強調し、台湾に施政権が及んだことは史上一度も無いが「台湾は中国の一部だ」と言い張る。正統ではないから、言葉でその劣勢を挽回しようとする。「92年合意」とか、存在しない空文書を突如持ち出して、それを盾にする。嘘がつぎの嘘を招来することに矛盾を感じない。議論そのものが欺瞞なのである。
このような劣等意識の裏返しが、派手な数字のオンパレード、その裏側の真理には蓋をして憚らない習性をのみ込めば、中国経済の真実が透けて見える。
▼中国で稼ぐのはKFC、マック、スタバ
外資も外国企業もつぎつぎと中国を去ってゆく中で、店舗拡大方針を堅持している日本企業はユニクロ、ニトリなどだ。
注目はアメリカの御三家、マック、スタバ、KFCである。いずれもフランチャイズ形式で、中国では加速度的に店舗数を増やした。
KFCは中国国内で一万店に急成長し、あと十年でさらに1700店舗増やすと豪語している。経営実態は「ヤマ・チャイナ」という香港資本だ。マックは新店舗を3000店舗に拡大するとしている。スタバは22年末時点で中国に6019店舗、あと3000店舗を増やすために新たに2億2000万ドルを投資するとした。
これらアメリカ勢はフランチャイズ方式を採用しているため、合弁先が開発費用の殆どを負担し、米国本社はリスクを負わず、ロイヤリティを吸い上げる。基本特許やビジネスモデルに先行し、モノの生産は下請けに出すアップルの遣り方を連想すれば良いだろう。
だから彼らは中国のような、人口大国で俗物根性まるだしの消費者という、うまみに溢れた市場から撤退することは考えにくい。
さはさりながら中国の公式発表には光と影、多くの嘘の中に、少しばかりの真実が含まれている。
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和五年(2023)12月30日(土曜日)
通巻第8074号より <前日発行>