加美郡内のりんご園主らが山形県内の農産加工実践事例を学ぶため,8月29日に視察研修を行いました。
大崎地方では西部の丘陵地帯でりんごが栽培されており,外部へ製造委託する形でジュース等の加工品生産も行われています。
しかし,規格外果実の有効利用という側面が強く,果実の特徴を活かした商品の開発には十分な成果が上がっていませんでした。
そこで,大崎農業改良普及センターでは生産者団体の加美郡りんご協議会と連携して,果実を原料とした農産加工の先進地である山形県内への視察研修を企画し,実行しました。
当日は加美郡内のりんご園主とその家族ら16名が参加して,山形県大江村の果汁工房「果実の森スズキ」と,尾花沢市の有限会社「尾花沢農産加工」を見学しました。
「果実の森スズキ」の経営主である鈴木茂氏からは,りんごや山ぶどうを原料とした加工品の製造販売に力を入れ,今では売上の過半を占めるに至った経緯を聞き,りんごの加工用品種「紅玉」のほ場などを見学しました。
また,尾花沢農産加工では,第三セクター方式で設立した会社が成長して,漬物や果実の加工品で年商3億円以上を上げている様子や,商品開発の工夫や原料調達の方法について伺うとともに,同業大手との競合といった苦労についても話していただきました。
普及センターでは,研修に参加した園主たちは2つの事例を見聞したことで,農産加工を柱にした経営に対する確かなイメージを持ったのではないかと評価しています。
園主たちのなかには,宮城県で新たに育成したりんご加工用品種「サワールージュ」を導入している者がおり,今後の加工品開発に期待が集まります。
普及センターでは今後とも,6次産業化に商品開発を目指し,農業生産の活性化を支援していきます。
<連絡先>
宮城県大崎農業改良普及センター 先進技術班
TEL:0229-91-0726 FAX:0229-23-0910