ツルムラサキは昭和50年代後半から蔵王町で栽培が開始され,現在は蔵王町を中心に仙南地域で広く栽培されており,本県の特産野菜となっています。JAみやぎ仙南ではツルムラサキ部会を組織しており,部会員数80名,栽培面積6.7ha,出荷量279t,販売金額7千5百万円(平成21年度実績)で,全国でも有数のツルムラサキ産地となっています。
ツルムラサキはカロチンや鉄分,カルシウムなどの栄養分が豊富な健康野菜で,葉菜類の出荷が減少する夏季に安価で安定供給できる葉菜として人気があり,本県産のツルムラサキは市場から高い評価を得ています。
しかし,10年ほど前から連作によりネコブセンチュウの被害が拡大し,近年の出荷量は最盛期の約50%程度にまで落ち込んでいました。ツルムラサキはマイナー作物であるため登録農薬が少なく,ネコブセンチュウに効果の高い農薬がほとんどない状況となっています。
そこで今年度,マイナー作物農薬登録拡大事業を活用し,農薬メーカーから協力を得て,殺センチュウ剤のツルムラサキへの登録拡大試験に取り組みました。試験は蔵王町のネコブセンチュウ多発ほ場で実施しましたが,殺センチュウ剤を処理した区では被害程度が減少してツルムラサキの生育が良好になるとともに,土壌中のネコブセンチュウ数も減少するなど,高い効果が確認できました。
現在,試験結果をもとに申請手続きを進めており,近年中の登録拡大を目指しています。さらに平成24年度には,より高い殺センチュウ効果が期待できる土壌消毒剤の登録拡大試験にも取り組む予定です。
普及センターでは,出荷量全国第一位に向けたツルムラサキ産地の復興を目指して,今後もネコブセンチュウ対策を中心としたツルムラサキの安定生産支援に積極的に取り組んでいきます。
〈連絡先〉
大河原農業改良普及センター 先進技術第二班
TEL:0224-53-3431 FAX:0224-53-3138