宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

ブラックホールの探し方

2013年11月05日 | 宇宙 space
シアン化水素分子の大量生成が、アルマ望遠鏡でとらえられたんですねー
これは、銀河中心ブラックホールの活動で作られたようで、
今後、こうした現象がブラックホール探す手掛かりになるのかもしれません。


銀河“NGC 1097”の中心から半径2100光年の領域(左)
アルマ望遠鏡のサブミリ波観測画像(右)では、
リング状に存在する爆発的星形成領域と、
中心ブラックホール周辺のチリからの放射が描きだされている。

多くの銀河の中心は、太陽の数百万倍から十億倍程度の、とても重いブラックホールがあります。

こうしたブラックホールの形成と成長は、
ブラックホールが属する銀河そのものの成長と関連性があるようなんですが、
その詳しい過程を調べるためには、さまざまな銀河の中心にブラックホールがあるかどうかを、
実際に観測する必要があります。

でも、周囲の物質を活発に取り込む“育ちざかり”のブラックホールは、
多くのチリにおおわれていて観測が難しいんですねー

なので、チリに邪魔されない方法で、ブラックホールを探す必要があります。
その方法が、さまざまな分子や原子からのミリ波・サブミリ波(電波の一種)放射を
観測するというものです。

そして今回、
ろ座方向の銀河“NGC 1097”の中心にある、活発なブラックホールの周りに存在する濃い分子ガスを、アルマ望遠鏡で詳細に観測することに成功したんですねー






銀河中心ブラックホールから
吹き出るジェットの衝撃波で、
周囲の分子ガス雲が加熱され、
シアン化水素分子が大量に
生成される(イメージ図)




このブラックホール周辺では、
シアン化水素(HCN:水素+炭素+窒素)が、大量に生成されていることが分かります。
これは、ブラックホールから吹き出るジェットによる衝撃波で、
ガスが加熱されているのが原因のようです。

こうしたブラックホール周辺環境に存在する特徴的な分子を観測していくことで、
今後は、チリに埋もれて可視光などでは観測できない「埋もれたブラックホールの探査」も、
可能になるかもしれませんね。