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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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“かんらん石”で分かる? 小惑星ベストの複雑な過去

2013年11月16日 | 小惑星探査 ドーン
NASAの探査機“ドーン”の観測で、小惑星“ベスタ”の露出マントルに、“かんらん石”が検出されないということが分かりました。

地球と同じようなコア、地殻、マントルの分化プロセスをたどったと考えられていた“ドーン”が、意外に複雑な歴史を持っているのかもしれないんですねー






“かんらん石”が見つかった
北半球のクレーター(画像左と右)




探査機“ドーン”は2007年の9月に、デルタIIロケットで打ち上げられたNASAの探査機です。
キセノンイオン・スラスタ3基を使って、火星軌道と木星軌道の間にある小惑星帯へ向かい、2011年7月には小惑星“ベスタ”の周回軌道に入っていました。

小惑星ベスタは、火星軌道と木星軌道に挟まれた小惑星帯の中で2番目に重い天体。
地球などの岩石惑星と同様のプロセスで、形成されたと思われていた“ベスタ”ですが、実はもっと複雑な歴史があるようです。


内部からの熱により核とマントル、地殻の分化が起こった場合、マントルの部分に“かんらん石”が集中します。

“ベスタ”の南半球のクレーターには、マントルが露出した分を部分があり、そこをNASAの探査機“ドーン”が観測したんですねー
すると、“かんらん石”は検出されませんでした。

さらに意外なことに、北半球の地表物質には“かんらん石”のはっきりした兆候が見つかっています。

この観測結果から考えられるのは、おそらく“ベスタ”は全球的にではなく、部分的にしか溶解しなかったということ。
“かんらん石”の局所的な塊のみが作られ、南半球のクレーターに見られるマントルでは、“かんらん石”が他の物質に覆い隠されてしまっているようです。


2011年から約1年間“ベスタ”を調査してきた、
探査機“ドーン”による今回の観測結果は、
“ベスタ”の起源に関するさまざまな説を検証するきっかけになるそうです。

“ドーン”は現在、準惑星“ケレス”に向かっていて、2015年初めに到着して周回探査する予定です。