宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

銀河中心ブラックホールは、合体で大きくなる?

2013年12月08日 | 宇宙 space
38億光年彼方の銀河の中心で、
2つの巨大質量ブラックホールの連星とみられる天体が見つかりました。
この連星は、やがて合体して、もっと大きなブラックホールになるようです。


銀河の中心で、お互いのすぐそばを公転し合い、
やがて合体していく2つのブラックホール(イメージ図)

ほとんどの大きな銀河の中心には、太陽の数十億個分もの質量を持つブラックホールが存在します。
ブラックホールがそこまで成長するのには、周囲のガス物質などを取り込むことや、銀河同士の衝突が考えられています。

銀河同士の衝突だと、銀河の合体が進むにつれて、
それぞれの中心にあるブラックホールも接近し、お互いの周りを回りながら合体して、さらに大きな1つのブラックホールになります。

こうした合体途中のブラックホールは、初めのうちは数千光年ほど離れていて、徐々に数光年にまで距離が縮まることになります。
この接近した段階のブラックホール連星は、天体としてのサイズが小さいので、特に発見が難しいんですねー

これまでに見つかった数少ないブラックホール連星候補は、すべて天の川銀河から比較的近い場所で発見されています。
でも今回、赤外線天文衛星“WISE”は、
38億光年彼方という異例の遠方に、ブラックホール連星とみられる天体を発見しています。

初めは、「この銀河の特異な性質から、爆発的な勢いで星が生まれている」っと思われたのですが違ったんですねー

そして、オーストラリア望遠鏡コンパクト干渉計の電波観測で、
ブラックホールからのジェットが、直線状ではなくジグザグ状に噴射されていることが明らかになります。

これはブラックホールが、単独ではなく連星であり、
その公転によってジェットが、「新体操のリボンのように揺さぶられている」ことを示すものになるんですねー

また、ジェミニ南望遠鏡による可視分光データにも、
一方のブラックホールが、もう一方のブラックホール周囲の円盤の物質を、寄せ集めているような兆候が見られています。

これらにより、お互いの距離ははっきりと特定できないのですが、ひじょうに接近したブラックホール連星の存在が分かったんですねー

なぜ、銀河の中心に超大質量ブラックホールがあるのか?
今回、「小さいとはいえ巨大なブラックホール同士が、合体することで形成される」ということが分かってきました。

研究を進めることで、巨大質量ブラックホールが合体によって成長する過程を、さらに知ることができると期待されているんですねー