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モバライダー mobarider

直接観測が可能? “エウロパ”表面に水蒸気

2013年12月17日 | 宇宙 space
木星の衛星“エウロパ”は、分厚い氷の下に広大な海があると考えられ、生命の可能性も指摘されている天体です。
その地表に水蒸気や粘土のような鉱物が、初めて見つかったんですねー

2013年の冬、ふたご座の位置でひときわ明るく目立っている木星。

この太陽系最大の惑星の周囲を回る、とりわけ大きい4つの“ガリレオ衛星”の一つ“エウロパ”は、表面を覆う厚い氷の層の下に海があり、生命を育む可能性があるとして注目されています。

その“エウロパ”の南極域の表面に水蒸気が見られることが、ハッブル宇宙望遠鏡の分光観測で分かりました。
この水蒸気は、地表から噴出している可能性が高く、今後の観測でそれが確実になれば、土星の衛星“エンケラドス”に続いて2例目になるんですねー

“エウロパ”はおよそ3日半で木星を1周するのですが、木星から最も離れた時にのみ噴出活動らしきものが観測されています。

この水蒸気は“エンケラドス”と同様に、“エウロパ”表面に見られるひび割れから出ているもので、木星から受ける潮汐力に応じて裂け目が開閉して、水蒸気の量に変化が生じるようです。

もし、“エウロパ”の地下に海があるなら、潮汐力の影響で“エウロパ”全体が大きく伸縮するという従来の予測とも一致するんですねー

水蒸気の供給源が“エウロパ”の地下にあるとされる海だとしたら…
これは、氷の層を掘らなくても、簡単に直接観測できるということになり、とてもワクワクする結果になります。


さらに、“エウロパ”に関する発見はもう一つあります。

NASAの木星探査機“ガリレオ”が15年前に取得した観測データを、新たな手法で解析したところ、“エウロパ”の表面に“フィロケイ酸塩”と呼ばれる粘土のような鉱物が見つかっています。

発見場所は直径30キロのクレーター近辺ということなどから、この鉱物は小天体の衝突がもたらしたと考えられます。
こうした小天体は生命に必須の材料である、有機物質も一緒に運んできたはずなんですねー
ひょっとすると、“エウロパ”に有機物が存在する可能性を高める発見なのかもしれませんね。


“エウロパ”の画像に、探査機“ガリレオ”の観測データ(四角部分)を重ねたもの。
青色が粘土のような鉱物の検出を示している。