宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

新星爆発に伴うプラズマ拡散を初観測

2015年04月03日 | 宇宙 space
ある星は、その一生の成熟過程で新星と呼ばれる核爆発を繰り返します。
新星爆発の“ペルセウス座GK”

表面のガスを数十年から数万年程度の周期で吹き飛ばし、
たまったストレスを定期的に発散させているんですねー

そして、爆発の際の爆風が衝撃波を作れば、
周りのガスをプラズマになるまで加熱しながら拡散することに…

その際、プラズマはX線を放射。
加熱された高温プラズマが拡散するようすは、
爆発の仕組みや宇宙の歴史を解く重要なカギになるそうです。

でも、新星は規模が小さく観測がむずかしいので、
新星の爆風が広がるようすを示す明確な証拠は、
これまでありませんでした。

新星は、私たちの天の銀河でも年に数回以上という高い頻度で発見されるのですが、
星が一生を終える時に大爆発を起こす超新星に比べると、新星は小型の爆発になるんですねー

天文学では、星が新星爆破を繰り返しながら、
なぜ、最後には壮大な超新星爆発に至るのかという謎が残されています。

なので新星のX線画像から、
衝撃波で加熱される高温プラズマが広がるようすが観測できれば、
理論と比較して、爆発の全体像がつかめると予測されています。
“ペルセウス座GK”爆発先端部のX線強度分布(右)の比較

今回の研究では、1901年に新星爆発を起こし、
ガスの残骸が、可視光望遠鏡で最も大きく観測されている“ペルセウス座GK”に着目。

“ペルセウスGK”は2000年2月に、
NASAのX線観測衛星“チャンドラ”がとらえた画像に、
衝撃波で加熱された、高温プラズマの痕跡が検出されていました。

そして14年後の2013年11月に、“チャンドラ”で2回目の観測をして、
高温プラズマが広がるようすを、ついにとらえたんですねー

2000年の画像と比較してみると、
X線の放射領域が、14年間で0.01光年ほど広がっていました。

爆風の速度は秒速300キロ程度と推定。
プラズマの温度は約100万度で、14年の間に顕著な変化は見られず、
飛び散ったガスには、ネオンの元素が比較的多く含まれていることも分かります。

さらに、X線の明るさを見ると、14年経って明るさが60~70%に…
これは、衝撃波で過熱された高温プラズマが拡散して、
14年の間に密度が薄くなった可能性を示していたんですねー

また、観測から求めた温度や密度、爆風の速度、爆発のタイムスケールなどを、
理論と照らし合わせ、爆発全体のエネルギーや飛び散ったガスの全体量を見積もっています。

すると、現時点で飛び散ったガスは、太陽質量の5千分の1程度でした。

新星は、星の運命を決める重要な現象のひとつになります。
なので、その解明が進むことには大きな意義があるんですねー