宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

矮小銀河からガンマ線、ダークマター粒子対消滅の証拠の可能性

2015年04月04日 | 宇宙 space
最近発見された天の川銀河の伴銀河の1つになる“レチクル座2”から、
ガンマ線が初めて検出されました。

実は、このガンマ線、
長い間「理論的に予測されてきたダークマター粒子の対消滅の証拠」ではないかと、
考えられているんですねー

矮小銀河“レチクル座2”の方向からのガンマ線放射。
明るさはガンマ線の強さを示している。

天の川銀河の周りを回る矮小銀河が“レチクル座2”です。

まだ数週間前に発見されたばかりで、
大小マゼラン雲よりも近く、太陽系から9万8000光年彼方に位置していていて、
天の川銀河に最も近い銀河の1つになります。

研究者が“レチクル座2”の観測データを分析したところ、
ガンマ線が放射されているらしいことが分かるんですねー

その時点では、ガンマ線の起源ははっきりしていなかったのですが、
その後、銀河の方向から通常予測される量以上のガンマ線が放射されているという、
証拠を得ることに…

ダークマターを探すのに、
「矮小銀河からのガンマ線は強力な証拠の1つ」と、
長い間考えられてきました。

なので今回の観測は、
初めて、その証拠を検出したことになるんですねー

ダークマターの正体は、いまだ分かっていません。

でも、その存在は、
銀河の回転や宇宙背景放射のゆらぎから明らかになっていて、
この宇宙に存在する物質の約80%を占めていると考えられています。

さらに、ダークマターを重力的に検出しても、
その粒子としての振る舞いについては、ほとんど分かっていません。

ダークマターが粒子として振る舞うことを示す、
重力によらない検出が、今回の観測なのかもしれません。


ほとんど相互作用を起こさない粒子“WIMP”は、ダークマター候補の1つになります。

“WIMP”のペアが出会うと対消滅して、高エネルギーのガンマ線が放射されるので、
銀河の中心のように、“WIMP”が大量にあると考えられる場所からは、
多くのガンマ線放射が見られると考えられます。

宇宙にはブラックホールやパルサーなど、
高エネルギーを放射する天体が、他にも多く存在するので、
“WIMP”からのガンマ線と区別するのが難しくなります。

その点、矮小銀河には、
“WIMP”以外のガンマ線発生源が存在しないと考えられているので、
区別し易いんですねー

なので矮小銀河は、ダークマターの粒子探しにおいて、
重要な天体ということになります。

“レチクル座2”を詳しく調べていけば、
隠れたガンマ線源の正体が明らかになるかもしれませんね。