信州大学理学部生物学教室の東城教授のご案内で、上高地の屋外学習会が開催されるとのことで、参加を申し込んだのだが、2日前の天気予報は雪、ことによると南岸低気圧で嵐の可能性もあり、、、、、とのこと。
冬山の装備などは持っていないので、夏山とこの前買ったスパッツ、冬の自転車用品を集め、考えられる最大限の装備をザックに詰めて、松本駅へ向かった。
大学から駅まで迎えにきてくれた信大のマイクロで上高地に向かう。夏の間はもちろんのこと、冬の間も釜トンネルは一般車通行止め、ここから長いトンネルを歩かなくてはならない。
でも、信大のバスで来たのには訳がある。事前に自然観察の申請がしてあるので、ここをバスで通していただけるのだ。歩けば1時間以上かかる釜トンネル、と次のトンネルを抜け、一気に大正池湖畔へ。天気予報が完全に外れ、一世紀前の噴火で梓川を堰き止め大正池を作った焼岳が眼前に輝く。
そして、上流に目を転じると、明神岳、前穂高岳、吊り尾根が見える。残念ながら奥穂高岳、西穂高岳は雲の中なるも、吹雪を予想していただけに、誰が晴れ男、晴れ女か話題になる。
小一時間歩き、帝国ホテルへ。春の開業に備え、設備の改修工事中だ。
雪上に残る動物の足跡を歩幅、足の跡、パターンなどから、その足跡の主が何であり、どのように歩くかを、東城教授やサポートの大学院生から教えられながら、梓川左岸を遡る。(雪上の足跡の写真はピントが今一なので無し)
霞沢岳と六百山、芽吹きまでにはまだまだのカラマツ林。
あ、猿だ。
上高地の猿は青森や地獄谷の猿ほど有名ではないが、最も気温の低い地域に住む猿とのこと。
氷点下20度にもなる厳冬期を乗り越え、有るか無しかの柳の新芽を一心不乱に食べる子ザル。
雪がちらつき始め、今まで見えていた山々が見えなくなった頃、河童橋に到着。
小梨平のセンターの屋根の下で昼食後、再度河童橋にもどるも、残念ながら岳沢の向こうの穂高は雪雲の中。
河童橋を渡り、梓川右岸の河原を下りましょう。
雪の舞う中、お借りしたスノーシューを履いて、雪上散歩を楽しむ。これは、何処にでも歩いて行けて、痛快、痛快。
でも湿原は進入禁止、河原だけよ。
散歩に飽きた子供たちは、雪の上にジャンプ、雪上転倒訓練。元気である。
ウェストン碑近くの田代橋まで来ると、河原に生えた、上高地固有種の化粧柳がもう芽吹きの準備をしていて、紅色に染まっている。
田代池まで来たら、また雪に視界を遮られ、水墨画の世界へ。
淡々と大正池まで歩き、この日の自然観察会はおしまい。
沢渡のペンションしるふれいに戻り、源泉かけ流しのお風呂に飛び込み、一日の汗を流す。
美味しい食事と、今日の見学の解説、そして、DNAシーケンサーを使った、生物分布、進化の最新研究等一端を解かりやすく解説していただき、こんなことまで分かっているのだと自分の無知を恥じるばかり。
東城教授と大学院生数人のサポートで、個人では到底不可能な極上の11km上高地トレッキングを楽しむことができた。下図のように歩いたコースは冬以外なら、半日の標準コース、でも冬は一日数十人しか経験できないコース。(ダブルクリックで地図が開く)