【まえがき】
廃村探検は市有地への許可を得ないでの侵入、撮影などと色々問題の起こりうる行為ではある。だが、我が市内のそれも10kmしか離れていない場所に、少し前まで人が住んでいた廃村があると知れば、その消えつつある姿を記憶しておきたい、記録しておきたい、というのも歴史愛好家の一人として当たり前のこととも思い、この記事をUPしている。記事に問題となるような部分があれば、喜んで修正したいので、コメント欄を通じてご一報いただきたい。
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村の歴史愛好家が集まって、10/24㈫初期中山道とその脇道にある廃村の桑崎へ探検に出かけることになった。廃村桑崎は半年前に自転車で訪問しているのだが、新品タイヤのパンクと、人気の無い場所に一人で行った心細さで、早々に引き上げてきた場所だ。今回は荒れた山道でも安心の四駆軽トラ3台に、5人グループでの出撃であるので、安心して探索ができるはず。桜沢から初期中山道に入り、桑崎への分岐へ。
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当初の目的地/駐車場として考えていた分教場跡の校庭が、最近伐採された木材集積のせいで入れない。
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伐採作業の車も入っていて、轍も有るので、軽トラで行ける所まで行って見ようと、登り切り、鞍部を越え、道がやがて荒れた林道と贄川へと下る分岐点まで来た。
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幾ら軽トラとは言え、これ以上進むのは危険と判断して、徒歩に切り替え。半分獣道化した道を少し降りて見たが、最近人の通った形跡がなく、倒木が沢山あり、足元が悪いので、ここで贄川へ降りる道の探索は断念。
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先ほどの伐採木が積み上げてあった地点/分教場跡近くに戻り、駐車。
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少し藪をかき分けて、分教場跡へ。この学校は冬季のみ使われ、夏は歩いて贄川に通ったとの事。生徒は十数人いたらしい。戦後開校し、僅か20年ほど使われただけで、1967年には閉校。
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入口近くには木曽山林高校の学生のノートがあった。分教場廃校後に、この地で林業実習でもしたのだろうか?
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昭和20年代に学校で使われていた重い木製の椅子から昭和30年代に取り換えられた鉄パイプ+合板の椅子がかってここが小学校であった事を偲ばせる。
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かっての教室には最後にここに住んだ人のものと思われる、夥しい量の書籍が箱詰めされたまま放置されている。実用書から始まって1970年代の文学書、歴史、社会学の本など、かなり高尚な趣味の持ち主の書籍と推察される。
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中には12巻からなる、オックスフォード大辞典なんて物まである。今ではタダでも引き取る人は居ないだろうが、購入した1970年代には10万円(今の貨幣価値なら数十万円)はしたのではないだろうか?
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画板やキャンバス枠、それにレタリングで作成されたポスターなども散乱しているので、最後(多分1970~80年代)の住人は美術系の方かと思われる。
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そして、これが分教場のかっての講堂? 体育室? 抜けた床に転がるグランドピアノが痛々しい。
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見せてもらった書籍にブルーシートを綺麗に掛け直して、校庭へ。校庭の一角にはそれなりに規模の大きな飼料用のサイロがある。
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さらに、その周囲を歩いてみると、牛舎に使ったと思われる鉄枠が残っていた。ここに、一頭づつ牛を繋ぎ、乳絞りでもしたのだろうか?
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分教場から100mほど下り、次は民宿跡へ。
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軒先にパソコンが10台ほど放置されている。1987年発売のPanacom M530、CPUが80286、RAMがたったの1MBのPC(今のPCの一万分の一程度の能力)だ。と言う事は、この民宿は1990年頃までは使われていたらしい。
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一方、建物の中には、小さなお神輿も。この集落で廃村になる前まで使われていたのか?
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1968年に集団離村/廃村、その後、多分1980年代までは変わり者がひっそりと住んでいたのだろうが、それから30年以上経ち、すこしづつ朽ちていく建物を記憶にとどめ、谷を下る。登って来る時にはあまり怖くなかったが、荒れた道でハンドルを取られれば、ガードレールの無い、落葉と水浸しの道で滑って、沢に落ちかねない怖い道をゆっくりとしたスピードで下ったのであった。
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明治末の五万分の一の桑崎地区の地図には数十軒の家屋が描かれている。(ダブルクリックで詳細図へ)
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それと重なる今回探検の国土地理院地図。家屋は描かれておらず、田畑は森林表記に変っている。こちらはダブルクリックで撮影写真場所の分かる、インターアクティブ地図が開く。
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