普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

日本の中小企業が韓国から買収される?

2010-06-21 07:38:23 | 経済・財政

 私の尊敬するブロガーの一人である「博士の独り言さんのブログで日本の優良中小企業へ投資、M&Aファンド創設支援(朝鮮日報)の情報を知りました。
 これを読まれていない方のために改め概要を書きます。
・韓国政府は日本企業の合併・買収(M&A)を進めるための専門ファンド創設を支援するため、関係の企業の意見を集約している。
・世界的な金融危機と日本の長期不況で、日本企業の会社価値が下落しており、この機に優れた技術を持つ中小企業を買収するのが狙いだ
・政府が直接ファンドに出資するのではなく、日本企業専門のM&Aファンドの活性化に向け、多角的な支援を行う。
・韓国政府は年内に産業銀行、政策金融公社、中小企業庁、国民年金(など国のまたは国策機関を動員して)など機関投資家によるファンド創設を推進する一方、コンサルティンググループなどを選定する作業を進めている。ファンドは日本企業に関心を示す韓国の中小企業に200億-300億ウォン(約15億-23億円)の資金を支援する間接投資方式が有力となっている。
・韓国政府が今回、日本企業買収を支援する理由は新たな成長源となる産業を育成するためには、技術の確保が重要だと判断したためだ。さらに、世界的な金融危機で、昨年から中国企業が日本企業の買収を積極化している点も理由だ。
投資先選定に当たっては、日本企業のうち、研究開発(R&D)投資は行っているが、設備投資が進んでいない企業、商品はあるが海外での販路がない企業など、資金投入による相乗効果があるケースを見込んでいる。

 止まらない中国・台湾・韓国への技術流出と言う資料によると、
技術流出の経路
・設計図面漏洩(大企業が金型を納入した日本の業者にそのノウハウの詰まった設計図面を提出させ、それを中国の業者に渡して製作させたという話がありました。)
・技術が製造装置などに形を変えてレシピの格好で流出する経路
・日本人技術者のアジア各国企業への転職という経路
・日本の現地法人スタッフの転職という経路
・日本企業からのアジア各国企業への技術供与をきっかけとする意図せざる経路
・契約上の不備
・技術者が外国へ技術指導目的の出張
・日本企業と韓国・台湾・中国企業との技術提携アライアンスや特許ライセンス
・契約に基づく技術移転による技術流出
 特に中小企業の技術流出に就いては次のように警告しています。
 中堅・中小企業の多い製造装置,部材などの分野では,上記のことは必ずしも当てはまらない。例えば,装置の図面を出したことによる技術ノウハウの流出,契約の不備による技術の拡散などは現在も存在する。今後,技術法務マネジメントに無頓着な企業が中国に進出すればするほど,このような問題は顕著になる。
 この様な無防備な日本の中小企業に韓国政府から組織的な攻撃を受けた場合はどうなるのでしょう。
 私も日本株式会社の復活を
でサムスン電子のことを取り上げたことがありますが、彼らの基本技術の殆どは誰でも知っているように日本が開発したものです。
 そして工場経営もトヨタの生産方式や日本の提案制度を採用しています。
 wikipediaを見て驚くのは、
・バブル崩壊後、サムスン電子には77人の日本人が技術顧問で在籍
・サムスン電子の外国人技術者の殆どは日本人だった
松下電器、三洋電機、シャープ、東芝、NEC等の製造業出身の日本人技術顧問には家電事業、AV機器事業、半導体事業などで使用している製造装置の現況調査、東芝出身の顧問にはフラッシュメモリの技術移転、資金難に陥った東芝にフラッシュメモリの共同開発を勧める提案などが命じられた
 サムスンは日本が生きて行く上で、掛け替えのない技術や日本独自の生産方式をそっくり導入したのです。
  そしてそのサムスンのお蔭で日本の電子機器の会社が苦しめられているのです。
  勿論サムスンが悪い訳でなくその経営手腕を評価すべきでしょう。
 もし責任があるとすればやはり米国の自由主義経済のやり方を無批判に受け入れた日本政府と経営戦略を誤った経営者
でしょう。
 日本は米国と違って狭い国土で天然資源もない、あるのは人的資源だけの国です。
 その点を考えると、米国流の自由主義経済やグローバル化の名に踊らされて貴重な技術や人材の流出を見過ごしてきた政府の責任は問われるべきだと思います。

 米国流の自由主義経済を推進してきた小泉さんはさっさと引退しましたが、竹中平蔵さんは依然として自由主義経済論を曲げずに、日本経済が上手く行かないのは法人税減税など中途半端な改革に終わったからだと言っています。
 然し竹中さんを含めて多くの(多分殆どの)経済の専門家は新興国、日本の場合は特に中国の台頭に伴う日本の競争力の低下という大きな経済環境の変化についは(当たり前過ぎて言えば沽券に係わると思っているのか)触れようとしません。
   つまり日本経済が上手く行かない理由について、リーマンショックに見られる過度にそ自由主義経済の破綻に加えて、中国の台頭という大きな問題については竹中さんは目をつぶっているのです。
 そして中国は中国株式会社化し、韓国も韓国株式会社化して国を挙げての経済活動(これは明らかに公式的な自由主義経済ではありません)を行いそれがまた日本に脅威となりかけています。。
 今、普天間基地移転で安全保障問題が大きく取り上げられています。
 それと同じにデフレから脱却できない、そして人的資源しかない日本、技術に頼るしかない日本は、技術の安全保障も考えるべきだと思いますが。
 普天間基地問題については沖縄県人の意見も大切でしょうが、日本全体の安全保障面から、それにもある程度の制限もあるように、経済活動の自由も大切ですが、日本生き残りのために技術の移転や流出にもある程度の制限が必要と思います。
 韓国政府の日本の中小企業に合法的に手を着ける動きに対して文句をつける筋合いはありませんが、日本が韓国の動きを(自由主義経済だからと言って)放ってよいとは思いません。
 何故なら日本の経済を支えているのは(大企業だけでなく)中小企業だからです。
 昔なら国のためという考えもありましたが、個人・企業へそんなことを要求出来ない時代になっています。
 残るは日本のために政府が中国・韓国から中小企業が持つ技術を護るために適切にそして合法的に対処することを祈るだけです。

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