参院選へ向けて自民党が公約で掲げた消費税率の10%への引き上げについて、菅首相が検討を約束したことで消費税のあり方が争点と成りそうな気配です。
菅さんは消費税増税に就いては次のように言っています。
・強い経済と強い財政と強い社会保障を一体的に進める
・消費税を上げて借金返しに充てるのはデフレ政策になるからやらない
・成長も実現し、社会保障もより強いものにし、そして財政も健全化していく
・この3つの目標を一体的に実行するというのが、まさに元気な日本を復活する
・これが最大の私たちが主張する公約だ(産経新聞より)
詰まり具体的には、「消費税増税→増税分を社会福祉施設の強化や介護に当たる人達の給与改善に当てる→雇用の増大→国内消費の増加→新産業の発生→経済成長の実現」を狙っているようです。
菅さんの発言に対して党内から賛否両論も出ているし、連立を組む(借金をしてでも財政出動を主張する)亀井さんの消費税増税すれば連立離反も辞さない発言、鳩山さんの「国外、少なくとも県外発言は鳩山さん個人の意見で党の公約ではない」発言のトラウマからから、菅さんも同じことになりはしないかと言う不安もありますので、今後どうなるのか判りませんが、菅さんの意見に就いて考えて見ました。
昨夜のテレ朝の「報道ステーション」では菅さんの考えは、彼の経済ブレーンで、内閣府参与を務める小野善康・大阪大学教授ともう一人の学者の説の受け売りだと解説していました。
たまたまネット上で小野さんのインタビュー記事を見つけましたのでそれを参考にして、テレビで聴いた記憶の範囲の概要を纏めてみました。
・過去の自民党政権下で取られた第一の道は、消費者にお金をばらまけばいいという発想で、無駄な公共事業や減税、補助金を指す。第二の道は構造改革で、生産能力が余っているにもかかわらず生産能力を上げようとした小泉・竹中改革。双方に共通するのは、労働資源を活用することが頭になく、お金を使うか倹約するしかないこと。これでは需要と雇用は生まれない
・菅氏が提唱する「第三の道」とは
雇用創出を起点に需要拡大やデフレ克服、財政再建を進める政策でそのために資金が必要であれば増税も構わない、そうすれば当初の増税分は家計に所得として返るので、その時点で家計負担はないし、サービスや設備も提供される。
雇用が増加してデフレも雇用不安も緩和されるため、消費が刺激され、経済も成長して税収が増え、財政も健全化していく
・従って、増税分は借金返済に充てるのではなく、雇用創出とその所得支払いにまわすべき
・税収の使途は、福祉目的税のように限定しないほうがいい(この点では年金の財源を税金で当てると言う公約のためか菅さんの発言の中では触れて居ませんか)
と言う考えだ。
[私の意見]
正に菅さんの発言はブレーンの小野さんの意見の受け売りですが、私はそうであろうと無かろうと、政治家として自分の信念で言うのなら良いと思っています。
私は子ども手当てが問題となったとき、その様なばら蒔きの金があれば出産・育児関係の施設、老人福祉施設の新設、増設をすべきだ。
育児施設については母親や担当者から反対の多い政府案の設置基準を緩和などけち臭いことをせずに、基準のあった施設を作るべきだ。
そうすれば地もとの中小の建設業者も潤うし、施設の増強で雇用の創出にも繋がると書いて来ました。
この様な当たり前のことは誰でも考えつく事ですが、それが出来なかったのは、昨日の「民主党・出向は天下りではない?」で書いたように、民主党の「天下り禁止」の公約が公務員制度改革の足かせとなったと同じように、民主党公約の「公共工事」は悪と言う考え方のトラウマが、誰でも考えられる社会福祉施設の増設の足を引っ張ったものと思います。
幸いに子ども手当ての今年度の増額分は育児施設関係に当てようと言う考えがあるようですし、菅さんの福祉関係施設の増強や介護担当者への給与改善に使われると言う現実を見据えた政策に変わりそうなのは良いことだと思います。
然し菅さんのこの政策で大きな疑問点があるのは、彼の言う消費税増税による経済成長政策が次の衆院選後と言う3年も待たねばならないことてです。
今の日本の経済の現状で、その回復には後3年も待てるほどの余裕はあるのでしょうか。
これも民主党公約の鳩山さんの任期の消費税を上げないと言う公約が足かせになっています。
先に書いた資料によれば菅さんのブレーンの小野さんは菅さんの政策実施にあたっては雇用創出に向けて「消費税は来年からすぐにでも上げたほうがいい」とし、現在5%程度の失業率を「3%に下げるまで人を雇えるお金が必要だ」言っているのに。
菅さんが自分の考えを推進したいのなら、そしてその財源がないのなら、問題の多すぎる子ども手当てや、農家の戸別所得保障制度に当てる金の一部から大部分を割いて、自分の考えた政策に集中すべきだと思います。
それともう一つの問題は、菅さんや小野さんの(どう考えても二次的な) 政策だけで、日本の経済環境が改善されそうにないと思うので、やはり従来ながらの輸出振興などの基本的な経済政策は欠かせないと思います。
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