原子力安全・保安院が、東京電力福島第一原子力発電所の事故の評価を、国際的な尺度で、これまでのレベル5から、「史上最悪」と言われた旧ソ連チェルノブイリ原発事故と同じ最も深刻な「7」へ引き上げたのには、原発とは遠い九州にいる素人の私でも驚きました。
然も保安院の「現時点までの放射性物質の放出量は、チェルノブイリ事故に比べて1割前後で、被曝量も少ない」と違いを強調したのですから。
読売の社説によれば
チェルノブイリ原発では、爆発的な核反応が起きて原子炉が全壊し、火災も発生して約10日間、放射性物質が欧州などを中心に、広範囲かつ大量に飛散した。
福島第一原発では、核反応は地震直後に止まっている。原子炉の機能はほぼ維持され、核燃料も応急的な注水で冷却できている。放射性物質の空中への放出量も、建屋爆発当時に比べ減少した。
と言うのに。
その発表の風評被害、特に外国のそれは測り知れないものになるでしょう。
今まででさえ外国人の引上げ、外国での日本製品の売れ行きの減少が起きているというのに。
外国ではチェルノブイリ並みの「レベル7」の発表が独り歩きして、読売が解説した現状や、保安院の「現時点までの放射性物質の放出量は、チェルノブイリ事故に比べて1割前後」の報道など完全に無視されてしまうのでしょう。
当然のように、菅さんの記者会見でも、福島第一原子力発電所事故について安定化に向かっているとの見方を強調したのに、原発事故の暫定評価が「レベル7」に引き上げられたことに関する質問が相次いだため、菅さんは
「どこまで(放射性物質が)広がっているかを調べた上での専門家の判断だ。私が知った事実関係で、都合が悪いから、と隠すように言ったことはなかった」と原子力安全・保安院などの判断を尊重したと説明に追われた。(読売新聞より)
そうです。
「私の感想」
・このような発表の仕方では、私を含む国民達は誰も保安院の発表を信用しないでしょう。
諸外国では尚更だと思います。
・然も発表した両機関の数字が2倍も違うのですから。
・然し残念ながら「レベル7」は外国では確実に、日本でも特に首都圏や東北地方で多分程度の違いこそあれ独り歩きをするでしょう。
・この発表の仕方を見ていると地震学者や気象庁の今までの津波の予測を思い出します。
詰まり予測の程度を過大に発表するのは安全サイドで良いのですが、彼らの過少に発表してそれが外れた時の責任の追求を避けたいと言う、自己保身の気持ちが入っているのではないでしょうか。
今回の大津波は確かに予測は当たり、残念ながら大きな惨害をもたらしました。
大津波の予測発表の最初から、東北海岸の様子をテレビで見ていて、テレビでは早く避難しろというのに、画面ではいまで同様に僅かな水面の上昇と車が何時ものように走っている。私も娘や孫も早く車も逃げれば良いのにと話していました。
そして突然の大津波の画面。
詰まり彼らの何時もの大きめの予想が、津波に対して訓練を受けている東北の人達にさへ、文字通り「狼少年」の話そのままに働いて、私どもが見た車の人達は、どうせまたいつものように予想より小さいのだと思わせたのかも知れません。
勿論原発事故はざらにあることではありませんが、専門家達が5→7へのいきなりのレベル上昇の発表は、彼らの情勢に応じての判定レベル変更の時間がなかったものか、外国の圧力(*注記)によるものか、それとも私が心配するように自己保身の気持ちが入っているのか、それとも国民に言えぬ何かの大きな理由があったのか判りませんが、そのいずれにしても何となく可笑しいような気がしてならないのですが。
政府も原子力の関係者も情勢の解析が難しいと思いますが、国民にも外国にももう少ししっかりした事故の解析と報告ができないものですかね。 (8.00現在記、*追記参照)
(*注記)レベル7は米政府の見解と一致…ルース大使
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*追記:朝から午後のテレビでは、私が心配したように(勿論誰でも思うことですが)諸外国のテレビの「レベル7」だけ焦点を当てた報道、福島原発周辺地域や首都圏の人達のの困惑の報道や「レベル7」制定の経緯の説明。
・その中で某学者は今回の「レベル7」は事故当初から判っていたことで、新しく考えられている「計画的避難地域」発表との整合性を持たせるために、政府から要請されて、両機関が発表したのではないかと言っていましたが、この説も眉唾物のような気がするのですが。(15.00現在記)