シャープ(早川電機)が世界初の電卓を発売したのが1979年(昭和54年)の今日。50年を迎えたと朝のラジオが伝えていた。
当初の価格は535,000円で、これは当時の普通乗用車1台分の価格に匹敵する。その大きさは大変なもの、重さも25キロはあっただろうか。それが今、コンビニやスーパーの棚に、いろとりどり、形も大小さまざま、満艦飾だ。値段も安いものではワンコインで十分なものもある。科学のすさまじい進歩に驚かされる。
当時勤めていた会社では人事の仕事を担当していた。いかに適正な人事配置をはかるかが主な仕事。毎日数字との格闘に明けくれたものだ。計算尺と対数表は当時与えられた最強の武器。1つの問題を解決するのに1日をまるまるついやすこともまれではない。
担当する課に最新鋭の電卓が配置されたのはその時。それもたったの1台。使用できるのは担当の課長か係長だけ。われわれ平社員は羨ましく最新の電卓を眺めるのが精一杯。
課長や係長が退社した後、こっそりとその電卓を触るのが唯一の慰め。使ってはみたが、仕事がはかどらず徹夜することもしばしば。そのキーボードの配列は複雑。キーも重い。軽くタッチするだけとはいかない。力を込めて1字1字を押し込むようにキーを抑える。長時間の作業では指先がしびれ手首が痛くなってしまう。
時代は変わった。今はスマートホンの時代。若い人たちがバスの中で、あるいは歩きながら、また自動車を運転しながら片手間にまるで手品師のようにキーを触っている。
思い出の古き時代の計算尺と対数表。毎日が日曜日となった今も大事に机の隅に置いている。毎週、日曜日にテレビで公開される人気番組“なんでも鑑定団”に、いつかこの品出品できないものかと心待ちしている。
日本での販売は頭打ちのようだが外国ではまだまだヒット商品。素晴らしい日本の技術、改善すべき点は改善し世界に羽ばたきたいものですね。