サラリーマンにとって4月は人事異動の季節。それはまた非情なものでもある。そこには人生の悲喜交々の家庭の縮図が現われる。
家族3人が別々に離れて暮らしていた娘の一家は典型的な離散家族。4月の異動で単身赴任の娘婿が熊本に帰ってくる。その引き換えとは言ってはなんだが、喜びもつかの間。熊本に勤めている娘が、今、原発の再稼働でゆれる町、薩摩川内市へ転勤となる。3人離れ離れの生活はもういやだと、娘は新幹線で通勤するという。通勤時間や経費のことなど考えると大変だろうと心配になる。
今朝早く、娘夫婦のお招きで、熊本駅から鈍行のワンマンカーで何年ぶりかの人吉を訪れた。川岸の桜は今満開。行く手をを遮るかのように球磨川の左右を囲む屏風のようなみどりの山々。その頂上付近までピンクの山桜が彩っている。球磨川の急な流れはときには白く岩を食み、ときには静かに緩やかな青い流れをつくっている。すばらしい車窓の風景にすっかり心が和んだ。
お招きは、人吉から引き上げる娘婿の引っ越しの手伝いが表向きの理由だが、人吉を去るにあたり老人夫婦の思い出の地人吉に誘うことが眞意のようだ。
転勤で人吉には3年近く住んでいた。娘もそこから嫁いでいった。仕事は大変だったが思い出あふれる町でもあった。5月に行われた“人吉焼酎まつり”の大名行列では家老役に扮し、川下りの船のパレードにも参加できた。
お昼の食事はみんなで名物のうなぎをいただいた。お客様が席に着かれてから料理するという、老舗のうなぎ屋さんの昔と変わらぬうなぎの味は格別だった。
その後、引っ越しの世話はうちの奥さんや娘たちにまかせて、カメラを片手に町に出た。
賑やかだった町には全く活気がない。人通りも少なく町の中心部には空き店舗が目立つ。人吉の名物は町のいたるところにある温泉とうなぎに球磨焼酎。人吉城では桜の花が満開。爽やかな風に吹かれた花びらが下を流れる球磨川に浮かんでいる。真っ赤やピンクの桃の花も咲いていた。大勢の人が花見を楽しんでいる。
お城の近くの焼酎の蔵元を見学。焼酎の試飲にも挑んだ。種類の多さとその味の違いには驚いた。少しだけの試飲だったが少し顔が赤くなったようだ。
国宝に指定された阿蘇青井神社にお参りする。赤い鳥居の下には花嫁さん。神社の前の蓮池には亀さん泳いでいる。懐かしい限りだ。
青井神社のすぐそば、球磨川のほとりに、国の登録有形文化財に指定された古い旅館がある。人吉時代にはずいぶんお世話になった旅館だ。そこで、ゆっくりと温泉につかった。幸せ幸せ。
人吉駅の「あゆ弁当」と「栗ごはん」の2つの駅弁はつとに有名。いろいろと都合があり今日は日帰り。夜は駅弁を楽しみに、午後7時40発の特急くまがわ号に乗ることとしていた。駅弁は汽車に乗る前に買おうと思っていたが大間違い。駅の売店も駅弁会社も午後6時には閉店。残念なことこの上なし。
楽しい想い出の1日のできあがり。ありがとう。転勤は大変でしょうが、今までと同じように元気で。ご活躍を祈っています。頑張ってくださいね。