【2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】 がん消滅の罠 完全寛解の謎 (『このミス』大賞シリーズ) | |
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宝島社 |
現代癌治療の現状がとても分かりやすく書いています。
また、医療、医薬品開発の解説も丁寧で、クスリ関係の仕事に方にもおすすめですね。
この小説は、現役の医師が書かれていますが、臨床現場で出くわします色々な矛盾や問題なども
是非、医療関係者のみならず、介護、在宅に係る方に必読の書に感じました。
特に印象に残った部分が P287
先生は首を振った。「直接的な資金援助であれば、過去にも行ったことがあります。しかし、それでは駄目なのです。魂の救済はできない。結局、資金援助などしなければ良かったと結論づけた事が多かった」
「魂の救済?」先生は何を言っているのだろう?
「そうです」先生は力強く頷いた。
「一度、死の淵を覗き込み、そこから蘇った人間の魂は救済され、輝きます。小暮さんの主治医である夏目くんにはわかっているはずですよ。あなたががんセンターで担当し、その後、転院して行った3名も、その他の救済対象者も、今では皆、充実した人生を送っています。経済救済だけでは、人生があれほどまでに輝くことななかった」
この部分を読んで、この著者(医師)はがんの(完全)寛解の経験が無いのだと思いました。がんが寛解してもその人の性格はそう簡単に変わりませんし、人生観も・・・。(以前に私の経験した患者さんは、2回、末期がんから生還しましたが2回とも変わる事は・・・)