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アトピー性皮膚炎と免疫①

2004年09月10日 | 健康・病気
 アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、「強いかゆみのある湿疹を主な症状とし、よくなったり悪くなったりを繰り返す慢性的な病気で、患者さんの多くはアトピー素因を持つ」と定義されています。アトピー素因とは、ダニや花粉等の抗原(アレルゲン)にさらされることにより、IgE抗体を作りやすい体質を言います。程度はまちまちですが、遺伝すると言われてます。
 しかし、アトピー性皮膚炎の原因はアトピー素因だけではありません。根本的な原因は、皮膚に本来備わってるバリア機能の低下にあります。
 アトピー性皮膚炎は、皮膚の角質層から侵入したアレルゲンが原因となるⅠ型アレルギーですが、実際はIgE抗体やマスト細胞の働きに加え、T細胞の働きが関与してる場合が多く見られます。


花粉症と免疫

2004年09月08日 | 健康・病気

花粉症発症のしくみ


花粉(抗原)→抗原提示細胞が取り込んだ抗原(花粉)の断片を提示→これをTh2細胞が認識→IL-4が産生→B細胞が活性→抗体産生細胞→抗体産生→IgE抗体→マスト細胞を刺激→化学伝達物質放出→Ⅰ型アレルギー発症(くしゃみ、鼻水、涙目)



花粉症は、植物の花粉に含まれるたんぱく質が原因で起こるⅠ型アレルギーです。
 抗原である花粉が、目や鼻の粘膜に触れると、非自己と認識され、排除しようと免疫システムが反応します。
 粘膜を通じて体内に侵入した花粉が抗原提示細胞に取り込まれ、抗原である花粉のたんぱく質が細胞の表面に提示されます。次にその抗原と結合したTh2細胞が活性化し、インターロイキン4(IL-4)というサイトカインを産生します。このIL-4の働きによって、抗原と結合したB細胞が活性化し、サイトカインを介して、Th2細胞からB細胞へIgE抗体産生の命令が下されます。活性化したB細胞は、分裂・分化をして、抗体産生細胞となり、花粉に対する抗体が産生されてます。
 B細胞から産生されたIgE抗体は続いて、粘膜のマスト細胞の表面に結合し、アレルゲンとなる花粉の侵入を待ちます。そして、再び花粉が侵入して、2つのIgE抗体を橋渡しするように結合することで、肥満細胞(マスト細胞)が活性化され、脱顆粒反応によって化学伝達物質(ヒスタミンなど)が放出されます。そして、化学伝達物質が鼻粘膜の毛細血管に作用したり、、神経末端を刺激したりするため、目の痒み、涙や鼻水、鼻づまり、くしゃみといった症状が現れます。


アレルギーとは

2004年09月07日 | 健康・病気
免疫システムの過剰反応

人間は常に様々な種類の細菌やウィルスなどの異物にさらされており、外界と接する場所は、皮膚または粘膜で覆われてます。
 細菌やウィルスなどの異物は、皮膚や粘膜を通って体内に侵入するため、皮膚の表面にはバリアの働きをする皮脂膜や角質層があります。
 しかし、粘膜は粘液で覆われてるだけで角質層はありません。
皮膚に比べると異物が侵入しやすいと言えます。そのため、異物を排除しようとする生体防御システム(免疫)が備わってます。時としてこのシステムが過剰に働き、自分自身の器官や組織を壊すなどの症状を引き起こしてしまうことがあります。結果として起こるのがアレルギーです。
 アレルギーには、4つのタイプがあります。即時型の3タイプと遅延型の1タイプに分類されます。


免疫の種類

2004年09月06日 | 健康・病気
免疫の続きです。


                 Th0細胞  
                   |
          --------------------------------------
         ↓                    ↓
       Th1細胞                Th2細胞
         ↓                    ↓
T細胞→ 細胞性免疫         B細胞→ 液性免疫
         ↓                    ↓
    T細胞の増殖・分化         B細胞の増殖・分化
         ↓                    ↓ 
     キラーT細胞                IgE産生
         |                    |
     --------------------           ----------------
    ↓          ↓         ↓        ↓
ウィルス感染細胞  腫瘍性免疫  細菌・ウイルスを  アレルギー
ガン細胞を攻撃   自己免疫疾患  攻撃          疾患       
             炎症性疾患


免疫力は液性免疫と細胞性免疫のバランスでコントロールされる。 
 生物の体には、外から入ってきた異物を排除しようとする生体防御システム(免疫)があります。免疫は、先天的に体に備わっている抵抗力(自然免疫)と特定の免疫の病原体に感染して初めて得る免疫(獲得免疫)の2段階に別けられます。獲得免疫には液性免疫と細胞性免疫があり、液性免疫はB細胞から抗体を産生し抗原(異物)の排除に働きます。細胞性免疫はT細胞が増殖・分化してできたキラーT細胞がウィルス感染細胞や癌細胞を排除します。液性免疫と細胞性免疫とはお互いに干渉しバランスを調節しています。ヘルパーT細胞はB細胞やT細胞の増殖や働きを調節するサイトカインを分泌し、サイトカインの産生パターンからTh1細胞とTh2細胞に分類され、Th1細胞は細胞性免疫を、Th2細胞は液性免疫を促進します。
 アトピー性皮膚炎・花粉症など、IgEが関与するアレルギーは、Th2細胞が必要以上に活発となり、ヒスタミンなどの化学伝達物質が過剰に分泌されることで炎症が進み発症します。
 最近では、Th1細胞が活性化するとTh2細胞の活性化が抑えられ、免疫システム全体のバランスが取れ、アレルギーにも効果があることが認められています。


免疫の勉強~生体防御機構における免疫~

2004年09月04日 | 健康・病気
 今回から、私の免疫の勉強を兼ねて、まとめた物をアップしていきます。

まず、異物の進入時間との関係から見ていきます。


分単位      液体中に普遍的に存在する活性物質
       <ここから自然免疫>
分~時間    場選抜的に機能を発揮する補体
時間単位    好中球
数十時間    マクロファージ
3~6日     NK細胞など
          Primitive T Cell response
       <ここから獲得免疫>  
7日以降    T細胞B細胞 
          典型的な免疫


免疫システムが異物を排除するまでの流れは、ピラミッドのような図式を示します。排除できなかった異物は次の段階で排除する。つまり、複数の段階を経て経時的に免疫システムは作動するようになっています。
 体内に侵入しようとする異物は、まず皮膚や粘膜など体を覆う組織が障壁となります。これらのバリアを突破して進入した異物に対しては、自然免疫が待ち構えています。好中球やマクロファージと言った貪食細胞が異物を取り込んで消化し、異物が体内に広がってしまわないようにします。
 自然免疫で完全に排除できなかった強力な細菌やウィルスに対しては、B細胞やT細胞を主役とする獲得免疫が働きます。