(前回からの続き)
是枝監督の昨年映画『怪物』。見る側を終始不安にさせる映像と言葉。落ち着いて話せば、最初から不信を持たないで対応すればこんな絶望は生まれないはずなのに。切羽詰まった時の言葉のすれ違いと誤解を作ってしまう態度が思ってもみない方に転がっていく。『いじめ』を巡る親と担任と校長に対するバイアス持って映画を見てしまう迂闊さ、そこに巧に引きこむ緻密な脚本と演技。少年の持っているライターと、何度も出てくる放火らしい大火事を結びつけている波風氏。子どもに純真さ無垢さ、残酷さのイメージを拡大して見ている波風氏。『怪物』の出どころというか、その本体を覗いてしまったような怖さ感じた。愛の薄っぺらさ無理解、というか。幼い時期の同性に対する自分でも分かるわけがない感情、それは「愛」の萌芽とも言えるものだがそれに気づかないとこの映画に入れない。
YouTubeで、いくつも「何をどう描いているのか」を解説しているのは、宮崎駿監督アニメ「君たちはどう生きるのか」と同じように難解だからだが、そんなのに頼らず「何を意味する愛なのだろう?」と自分が納得できるまで考えるのが楽しい。長く感じられる作品に備わっている秘密は愛。
脱北した天才数学者と高校生の師弟愛、家族もキャリアも命よりも大きな真理に対する愛。2022年の韓国映画『不思議の国の数学者』
実話では無いが、隣の国の学歴主義や学校事情をかいまみて、これは日本と同じだと思う。いや、こういう映画を作りそれをヒットさせるレベルに驚く。戒厳令に反対し銃を恐れずに抗議していた若い女性の姿に衝撃受けていた。映画『グット・ウィル・ハンティング 旅立ち』(1998年公開、マット・ディモン、ロビン・ウィリアムズ)は、数学の天才が若者で、寄り添う孤独な精神分析医が老人。科学発達の背後にある原動力が数学という言葉があったが、感情に左右されない真理『数学』が、美や芸術の芯にもなっていることに驚きつつ、すべてをかけてその世界に分け入る覚悟というか情熱は、凡人には伺いしれないが『愛』の対象だからだろう。
4つのドラマの簡単な感想をブログに書いた。記憶の保管庫に収めた安堵感。どこに収めたか忘れてしまうが気にしない、言葉で支えている暮らしに句読点をうつような、気分刷新し新しい興味に向かうために必要な整理整頓みたいな気がブログにある 長く冷凍していたタコがあったのを思い出し、たこ焼き昼食。タコぶつ切り、キャベツ(これが美味い)、青ネギ、紅生姜、天かす、青海苔、かつお節、そして長芋と出汁入りのタレ。丸くなると嬉しい外側カリカリ内側トロトロボール。マヨネーズとオタフクソースで。