波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

絵本「遠い町から来た話」

2012年03月04日 | 読書

 Photo_4 あり得ない話なのに、実は記憶のどこかにあったような。大人になって忘れてしまっていた、それを思い出させてもらったような。作者ショ-ン・タンの細密な絵と淡々とした文の響きあいが心地よい。
    同じ作者の「アライバル」が文字の無い絵本にもかかわらず饒舌なのに比べ、こちらは多くの言葉があるのに何故か静かな世界が。絵が心を直接振るわせてくれる。
 人はどこから来て、どこへ行くのだろう?という哲学してみたくなる大人向け絵本。

 「遠い町から来た話」 (ショ-ン・タン作、岸本佐知子訳:河出書房新社)この絵本も、「ここが家だ」も波風文庫「持ち出し禁止書籍」に指定。

 3月3日朝刊の朝日新聞(北海道版)「先生のつぶやき」に凡師さんのコラム。今回のお題は「卒業式」。「中学校・男・39歳」のがそれ。今回の執筆者はいつもより若いようだ。

コメント

絵本「ここが家だ」

2012年03月04日 | 読書

Photo_3    中学時代から大好きなベン・シャーン。半世紀以上前、ビキニ環礁水爆実験で被災した第5福竜丸に題材をとり3年後に描かれた「ラッキードラゴンシリーズ」。それをもとに50年後に書かれた絵本の文。

…けれど わすれるのを じっと まっている ひとたちもいる。

 ひとびとは 原水爆をなくそうと動き出した。けれど あたらしい 原水爆をつくって いつか つかおうとかんがえる ひとたちもいる。

 わすれたころに またドドー--ン!みんなの家に 放射能の 雨が降る。

どうしてわすれられようか。畑はおぼえている。波も うちよせて おぼえている。 ひとびとも わすれやしない。

 ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸(絵ベン・シャーン 構成・文アーサー・ビナード:集英社)絵のもとになったのは、1954年1月22日、23人が乗る第五福竜丸が焼津出港。3月1日夜明け前被爆。広島型の千倍の爆弾。救助を求めるともっとひどい目に遭う危険性もあり独力で3月14日帰還の出来事。
   ベンシャーンは1898生~1969没、20世紀米国を代表する画家。今、絵画展が国内巡回中。米国の複数の美術館が福島県立美術館の貸し出しを取りやめたの報。ひどい話だ。

コメント

恩師の言いつけ  №10

2012年03月03日 | 新聞掲載

 「偉い人と勘違いせずエライコトになったと思え。痛いところを突いてくれるPhoto 直言の師を望んで持ち、応援団のある仕事を」と、中学時代の恩師が教師の心得を教えてくれた。私はこの先生にあこがれてその世界に入り、今月末に定年退職する。

 教育は一生を賭けるに値する素晴らしい仕事だった。同時に、一人で出来たことは何一つない。エライコトだらけ、反省ばかりの毎日で勘違いしている暇も無かった。
 続いたのは運と偶然と、支えてくれる人がいつもいたからだ。成果を急いで形にしなければならない風潮の中、教育には夢とロマンが必要だと夢中で走り回ってきた感じだ。周囲を見渡すと子どもに向き合う先生ほど許容量を超えるストレスにさらされている。だが、少なくない子どもと親たちはもっと過酷な中で生きている。生活も、教育もそれは厳しい時代だ。

 だがこの1年、子どもこそ生きる希望、教育は闇の中の光だと得心した。東日本大震災後、話したことも会ったことも無い日本中の子どもどうしが想像力を駆使して、思いやりと感謝の心を通わしている。大げさでなく、こんなことがこの国の歴史にあっただろうか。未来は満更でもなさそうだ。
 さて私は今春から立場を反転し、奥ゆかしい直言と応援のできる人間修業に入る。恩師の教えは永久に不滅だ、ここら辺が教育の奥深さだと思いたいこの頃だ。(3/3 北海道新聞)掲載


…………………………………………………………………………………………………………………………………………………

勝手に書いた恩師の言葉。その恩師から久しぶりの電話。「これは先生のことですね」と何人もの元同僚、後輩の先生方から電話が来たそうだ。「偉い人…」の言いつけを忘れない方々たちが私以外にも大勢いるのだ。

コメント

【その49】 小さな積み重ね 

2012年03月01日 | 【保管】一寸凡師コラム
 

Photo
 東京スカイツリーが完成したらしい。634mという高さは、田舎者の凡師にとってはピンとこないところもあるが、とにかく高いのだろう。 自称「高所恐怖症」の凡師が塔に登ることはないだろうが、ぜひ機会があれば近くで見てみたいもの。当たり前の事だが、「634mの塔」はいきなりできたのではない。「(本体に比べたら)小さな部品」の「積み重ね」であの塔が出来上がったというところに浪漫を感じる。何かを論ずる時、しばらくはこのネタを使っていきたい。「いいかい、あのスカイツリーだって、小さな部品をコツコツと積み重ねていったんだよ。人が何かをやり遂げるのも同じじゃないかな? そう、人生のスカイツリーを目指すんだ!」と…。

    さて、我が家のスカイツリーこと長男坊。小学校入学Photo
前だが、塔の高さは130cmを超えた。日々小さな経験をコツコツと積み重ねている。先日は「けじめ」の話を凡師が説法。それを聞いた長男が「うん、わかった! ご飯を食べる時はご飯を食べる。」「そうそう(凡師)」「背中をピンとする時はピンとする!」「そうそう(凡師)」「きちんと座る時はきちんと座る!」「そうそう(凡師)」「おならをする時はきちんとおならをする!」「????(凡師)」

   何事も一進一退。子育ても同じ。小さなことを積み重ねることが大事なのだ。

    しかし…、「きちんとしたおなら」とは一体どんなものなのだろうか? 1度、耳(鼻?)にしたいものだ。今度長男坊と一緒に荒馬さんに聞いてみよう。そして2人で正座しながら(させられながら)荒馬さんの説法を受けよう!

コメント