波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

重松清著「せんせい」

2012年11月14日 | 読書

Photo 教師と生徒をめぐる6つの短編集「せんせい」(重松清著:新潮文庫)。この題名と作者名で手にした一冊。
 「教師という職業が大好きで、現実に教壇に立っていらっしゃるすべてのみなさんに、ありったけの敬意と共感を示したい…同時に、教師とうまくやっていけない生徒のことも大好き」(著者あとがき)を納得する読後感。登場する6人の先生たちは、子どもにとって生涯忘れられない強烈な個性だが、一人の大人として見れば平凡だ。その分、随分人間くさい。一定の経験を積んさ6人それぞれが、これまでの子どもとのやりとりを振り返り自問自答するところがリアルだ。その間違いや汚点と思われることは、学校現場に身を置いた自分にすべてあてはまる。「にんじん」が強く心に残った。
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 子どもがいるから先生がいる、その逆では無いという当たり前のことが若い教員にはなかなか理解できない。定年が近くなり、思い通りにいかないのが人生だとつくづく考える頃、実はそれが人間関係の真実なのか、生きる意味なのかと静かに思うようになる。そんなことを考えさせられるまともな小説が、この国の、この時代に、本屋に並び、何気なく読まれることが有意義だと思う。「せんせい」を通じた、普遍的なはずの人間関係が、今や物語でしか味わえない郷愁になり始めたのではないかと危惧するこの頃。

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時計の工作

2012年11月12日 | 日記・エッセイ・コラム

Photo  久々の工作。左画像は「おにぎり時計」。大きさは、やや大きめのオリギリ大。民芸品店でこんなのが値段3000円。「俺だってこれぐらいなら」が動機の一品。あえて針をオニギリより長くして、文字盤もなくしたのが、ママヨさんに大不評。しかし、壁掛け用の動くアートと見れば、思わず手に入れたくるはず(ならないか…)紙粘Photo_4 土、アクリル絵の具、水性ニス、機械はダイソ-の壁掛け時計の製造元不明のクオーツ(当たり外れあるが値段の割に正確)

                    

 右画像は「木の時計」。18㎝×16㎝ の木片端材を使った自然系。倉本聰「北の国から」や「森の時計」のイメージ。大きな数字のチープな消しゴム印押したら、ママヨさんから「これはいい」の評価。2つとも動作確認済み。材料費はあまりかかっていないが、裏に機械をはめ込む掘りを、表の1ミリ以下の薄皮に仕上げるのがやや難儀。これを失敗すると全てが無駄に。今までの文字盤描き換えから進化した2作品でどんなものでも時計に仕上げる自信が(笑)「波風食堂」で展示販売いたします…開店の折には無理してでも買って下さい。

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凡師コラム№85に、小幸さんが出張から帰って描いて送ってくれたイラスト掲載。週に一度、文と絵が一体になった温もりを楽しめる。お2人にいつも感謝で一杯。

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一言多いですが【誰でも辛い編】

2012年11月10日 | 日記・エッセイ・コラム

…前回(11/4【教職至難編】)から続く…Photo

生は困難だらけ。立男は、覚えているだけ、人に言える分だけで、仕事を3度辞めたいと思い、辞める以外無いと2度思った。辞める辞めないは個人が決めること、だが個人では解決できない時にそれが迫られる。何とか続いたのは、運と偶然と周りの支え、そして、気力が残っていたからだ。自分に正直に聞くと、続けるのが立派とは思えないし思わない。

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もが抱える辛さ。指導力、同僚や親、お金、健康、家族仲、介護、子育て、突然の誹謗中傷や不祥事…ほぼ自分にあてはまり、口にしないだけ。教職だから破綻無く…はありえ無い。どんな仕事もそうだが、特に社会矛盾を限界まで引き受ける教育界。自己責任に耐えるプライドが求められる。ふと気づくと相談相手無く孤立している。「教育関係」が大卒3年目の離職率1位(約半数)はその反映だろう。

…さて、当初予定の最終4回目UP。昨日はこの続き載せて終わらせた。が、長い(笑)ということで途中で切った今日。残りは…次回に続く。

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珍しく教育問題。真面目に書いて疲れた。読む方はもっとだね。「寄り添う関係」を書いておきたくて。右下「カテゴリ-」の「日記・エッセー・コラム」クリックで4回分連続読めます イラストは、短冊に描いた玩具南瓜。久々に工作も。紙粘土で「おにぎり時計」、ベニヤ板で「ほぼ完全木製時計」、★★☆(星2つ、まあまあ)の出来 若い先生たちの話聞ける貴重な機会。初対面どうし、後輩の悩みに先輩のアドバイス、貴重な「学級づくり勉強会」 兄弟ブログの「波風食堂、準備中」更新しました。

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【その85】 立冬

2012年11月08日 | 【保管】一寸凡師コラム
「読んでない本、貯まってきたんじゃない?」と荒馬さんがポツリ。
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 今年は良書と出会う機会が多かった。人生初の定期購87 読も始めた。毎月送られてくる月刊誌は人間学がテーマ。世の中にはすごい人がたくさんいると改めて実感。荒馬さんも興味を持って読んでいる。荒馬さんと一緒に読める本はなかなか無かった(凡師は嗜好の幅が極めて狭い)ので、どことなくうれしい。
 「世界の変化のスピードがこれだけ速くなると、〈地図〉はもはや役に立たない。必要なのは〈コンパス〉です。」という一文に惹かれて注文した雑誌。「『教育』は終わった。『学び』が始まる~未来の学校~」という見出しにも興味が沸いた。9月発売の雑誌の為、古本屋から取り寄せ。

 久しぶりにギターを弾こうかと弦をamazonで物色。amazonでは一度買った商品を閲覧すると、いつ注文したかのデータが表示される。この機能のおかげで昨年11月に弦を注文していたことが判明&その時買った弦を張り替えていないことも思い出した。弦の物色はamazonから引き出しへ。

 昨日立冬。いよいよ季節は冬へ。凡師にとって「読書の冬・音楽の冬」が始まろうとしている。
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「柚子は九年で」(葉室麟著)

2012年11月06日 | 読書

9   随筆集「柚子は9年で」(葉室麟著:西日本新聞社)。「人生にも『花を咲かせる』、あるいは『実を結ぶ』という時期があるだろう…60歳を過ぎてからではないか」と、退職後人生を考え始める時の読書にふさわしい随筆集。この年代、親の介護や健康など人生の難問が襲いかかり困難につきまとわれ、「勝てないかもしれないが、逃げるわけにはいかない。できるのは『あきらめない』ということだけだ」と、遅咲きの直木賞作家の大人の人生観。

 「年齢を重ねるということは、記憶の中の懐かしい自分とゆったりと対話の時間を持てるということ」、「若い頃、時は無限、生はいつまでも続くと漠然と思っていた。しかし、切実に思う。時とはこれほどに限られたものなのか」に立ち止まり、「『晩年の恋』は青春時代と違い、終焉にいたる彩りに過ぎないかもしれないが、人生の殻を脱ぎ捨てる再生の瞬間でもある」では、あり得ないのに思わず読み直したりした。同じ年齢だからか、親近感が湧く。新聞で作者の名は見たことがあった。だが、何だか不自然なキラキラネームみたいな作家名(はむろりん)で読まずにいた。本書はきりりとした文章。一度、この人の時代小説を読んでみたい。

  「桃栗3年柿8年」は、地方により「柚は遅くて13年」「梅は酸いとて13年」「枇杷は9年でなりかねる」「梨の大馬鹿18年」などと続くそうだ。「股膝(ももひざ)3年尻8年」は吉行淳之介作、最近こんなのが書きづらくなった。

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今回はアマゾンの書評(カスタマレビュー)にも送信。3冊目だ。仕事でない本だと気楽地方自治体職員の3人に1人が非正規と昨日の新聞社会面。一昨日、私立高教員の37%が非正規と出ていた。両方とも財政上の理由だが、責任の重さに対し低賃金な不安定雇用、実に不安。

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