一ノ関圭「ランプの下」「茶箱広重」再読。「・白戸三平流の骨太い画法と狂いの無いデッサン力 ・奥いきのある文学性 ・魅力的な『おんな』どれも個性的 強さ弱さ 諦念 淫蕩さ」(「ランプの下」巻末 林望評)と「一読驚嘆 漫画でここまでやられて… 素材の面白さに頼るだけでなく、物語を構築する才能にも長けている」(「茶箱広重」巻末 高橋克彦評)に同感。
「ランプの下」が76年(ビッグコミック)、「茶箱広重」が81年(前同)、「鼻紙写楽」が02年~で、この3冊がこの作者の全コミック。寡作に驚きつつ、時代考証の厳密さ、揺るぎない物語性、そして一コマ一コマが『美術作品』ならばそうであろうとも思う。貸本漫画の匂いする「ランプの下」、上手さ際立つ「茶箱広重」、白戸三平「カムイ伝」みたく読み終わってこれからが始まりと思ってしまうスケールの大きな「鼻紙写楽」。絵も筋も揺るがない「完全主義」に向かう凄さ。
女性漫画家の面々が浮かぶ。消費的漫画と一線画す作家たち。「しんきらり」のやまだ紫(48年生 09年没 享年60歳)、「百日紅」の杉浦日向子(58年生 05年没 享年46歳)、「見晴らしが丘にて」の近藤ようこ(57年生)、「絶対安全剃刀」の高野文子(57年生)、 吉田 秋生(56年生)。一ノ関圭(50年生)。50年代生まれの女性漫画家の面々、やるなあ。何度読んでも笑える「専務の犬」の高橋留美子57生、「ガラスの仮面」の美内すず江51生、「海街ダイァリー」の吉田 秋生56生。今回のブログ記念し古本一冊買う。定価1円、郵送料250円。悪くないが、何だかなあ。
公式裏ブログ「波風食堂、準備中です」更新しました。珍しく連続で。