私の夏 自粛の夏
悩んで悩んで、家族で話し合って、今年の夏は実家に帰省しないことにした。県をまたぐという訳ではないし、周囲で感染者数が増えているという状況でもない。気をつけさえすれば、たぶん大丈夫だろうとも思う。けれど、心の隅で絶えず万が一のことを考えてしまう以上、心から楽しめる帰省にはならない。そう思って決断した。息子のともちゃんが、「じいじとばあばに何かあったら困る」と言ってくれたのも大きい。自分は若いから大丈夫かもしれないけれど、自分のせいで何かあってはいけないと。優しい我が子の言葉の重みを感じながら、夏の帰省を諦めた。それを伝えるべく久しぶりに実家に電話をする。父はがっかりし、母はこちらの意を汲んで穏やかに受け入れてくれた。ゴールデンウィークの頃は、夏になったら大丈夫だろうと思っていた。それが叶わなくなった今、じゃあ冬には必ず、と言えない世界になってしまった。「仕方ないよね」がこんなにも口癖になる日々を送ることになるなんて、数ヶ月前では考えられなかったのに。
それでも、悪いことばかりではない。久しぶりに両親の声を聞き、がっかりした声も明るい声も聞いて改めて気づいたこと。私は母親でもあるが、やっぱり娘なのだ。日常を過ごす中でそんなことを意識することもなくなっていた今、私は娘なのだと実感できたことが、なんだか泣けるほど嬉しい。
【波風氏談】先週土曜日に配信した本ブログ記事を所定の火曜日に移動しました。